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星のように

時刻は22時。
苦手な英語の課題をやってのけ、一段落ついた頃。


コンコン。
窓をノックする音がして、外を見れば…

…学ランを羽織った、雲雀恭弥が居た。


「雲雀さん!!どうして此処に?」


びっくりして窓を開け、尋ねてみた。
すると貴方は少し微笑んで。


「今日は星が綺麗なんだ。天体観測でもしないかい?」
「…はあ!?」



一応、抵抗はしたのだけど。
気が付いたら、バイクの後に乗っけられ、小高い丘の上に着いていた。


「嗚呼…どうしてこんなことに」
「何か言った?」
「いえ、何も」


ほとんど強引に連れてこられて、星を見せられるとは。
でも、雲雀さんと2人きりで、こんな所に居るってのは、凄いシチュエーションかもしれない。
いつも追いかけてばかりの私に、神様が気の利いたプレゼントをしてくれたんだろう。


「わあ、手が届きそう」


転がって天を見上げれば、落ちてきそうな星屑が目の前に広がっていた。
思わず手を伸ばす。
高い所に上ると、星が近くに見えるのは何故だろう。
いつもは遠いのに。



「ところで、何で私を此処に連れてきたんですか?」
「さぁ、どうしてだろうね」


さらりと答える雲雀さん。
さぁって…女の子的には、結構重要なことなんですけど。


「ただ、」
「…?」
「星を見てたら、君と一緒に見たくなったんだ。それだけ」



いつも飄々として、何も掴めない雲雀さん。
でも、そんな貴方が好きなんです。
貴方を追いかけて、風紀委員になったんです。
少しでも貴方に見てもらいたくて、貴方に近付きたかった。
いつも遠かったから。



「…ずっと前から好きだった」
「…え?」


思わず起き上がり、雲雀さんを見た。
目が合う。
何も変わらない表情だった。
…そうだ、違う、私のことじゃない。
きっと、この場所のことだ…でも。


「何が、ですか?」


勇気を出して聞いてみた。
ひょっとしたら、という気持ちを込めて。
そんなわけないことは、自分がよく知ってるけど。


「さぁ、何だろうね」
「あ、誤魔化しましたね」
「五月蝿い」
「ひゃー、ごめんなさい!!」


ふざけて笑って言うと、雲雀さんも微笑んだ。
ねぇ、貴方にこの私の気持ちは届いてますか?


end.
(2010,1,25)



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