拍手『楓』
「よー、何やってんの?」
「や、山本君…!」
心臓が高鳴る。
話しかけてきたのは、同じクラスの山本武君。
密かに、私が想いを寄せてる人、だったり。
「少し、掃除」
そう言って、私は持っているほうきを見せた。
私の足元には沢山の楓。
もう秋が来てる。
「へー。さすが風紀委員だな!そんなのも仕事なんだな?」
「ううん。委員長には何にも言われてないけど…私が、気になったから」
そう言って、掃除に戻る。
これ以上顔を見合わせて会話出来そうになかった。
だって、山本君の笑顔が輝いてるんだもん!
こんなに会話が出来ただけでも、私は幸せ者。
「手伝うぜ」
「え?」
そう言って、山本君は私からほうきを奪った。
「で、でも、悪いよ!大丈夫だから…」
「いいって。1人でやるより、2人でやった方が早いだろ?」
ニカッと笑った。
本日最高の笑顔だと思う。
「…大丈夫か?顔赤いけど」
「へ!?」
「楓みてーだな」
ハハハ、と笑う山本君。
きっと今の私の顔は、足元に転がってる楓より真っ赤だ。
そんな秋。
公開(2010,10,1〜2010,11,28)
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