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困った彼氏

「名前っ」
「ん?」


ちゅ。


ほらまた、キスされた。


「武…」
「わりぃ、わりぃ。思わず」
「思わずって…これで何回目だと思ってるの?」


つい、語尾を強めて言うと。


「名前は嫌か?俺とキスすんの」
「う、嫌なわけじゃないけど…」
「なら良かったぜ」


全然、良くないんですけど。
でもそんな言い方されたら、嫌とは言えないじゃない。
…確信犯め。



武は、私と1日何回もキスをする。
おでこ、瞼、頬、鼻、唇に。
武のことは嫌いじゃない。むしろ、好きだ。
というか、初恋だったんだもの。
告白したら、あっさりOKもらって、彼氏になってくれた。
そりゃ、とても嬉しかったんだけど…。


(まさか、こんなにキスをすることになるとは…)


でも、私だって嫌いじゃないから、何も言えない。



ある日、教室で。
授業が終わった休憩時間。


「あのさ、名前。頼みがあるんだけど…」
「何?ツナ」
「さっきのノート貸してくれない?授業中、寝ちゃってて…」
「良いよ、はい」


手を合わせながらお願いするツナに、私はノートを貸し出す。
ツナとは隣だから、よく話すし、良い友達だ。


「ありがとう。助かったよ」
「ううん、全然」


笑って言うツナに、私も笑って返す。
そこへ。


「名前」
「何、たけ…」


し、と言おうとしたら、頬にキスされた。
ツナの目の前で。


「や、山本…」
「よぉツナ」


否々、挨拶してる場合じゃないでしょ。
ツナが思いっきり引いてるし!!


「武っ!!人前でするのは止めて」
「だってさ、名前の笑った顔、可愛かったし。そんな顔見て、誰かが名前取るかもしれねーだろ?だから、牽制」
「…な、」
「俺、名前を取られたくねーから」


嗚呼もう。
そんな目の前で、ニッコリ笑わないで。
いつも、その強気な目にやられるんだ。



end.
(2010,2,1)



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