拍手『祭り』 「梓!林檎飴食べたい」 「お前、さっきクレープ食べてたんじゃなかったか?そんなに甘いもん食って、大丈夫かよ」 「平気、平気。甘いものはエネルギーだから!」 「へー」 今日は、梓とお祭りデート。 あたしは浴衣に身を包み、髪型もバッチリ整えた。 梓はTシャツにジーパンだけど、頭にはタオルを巻いている。 あたしの好きな、梓の格好の1つだ。 「おじちゃん!林檎飴ちょうだい!!」 「あいよ。元気いいね、お嬢ちゃん」 「あはは、元気がいいのだけが取り柄です」 「いいね。じゃ、お嬢ちゃんには可愛いからオマケね」 そう言って、おじちゃんはもう1つ、小さめの林檎飴をくれた。 「わー、ありがとう、おじちゃん!」 そんなやりとりをして、おじちゃんと別れる。 「梓、林檎飴いる?」 そう言って、タダで貰った方の林檎飴を差し出す。 「俺はイイよ。甘いもん、そこまで好きじゃねーし」 「そっか」 申し訳ないけど、2つも林檎飴は食べられない。 1つを巾着にしまい、もう1つを袋から取り出し、食べ始めた。 「やっぱ貰う」 「え?」 不意に梓に林檎飴を持っていた手を引かれた。 梓は私の食べていた林檎飴を食べ、そしてそのまま、私にキスをした。 「…え?」 顔が火照っていくのがわかる。 梓も、少し顔が赤いように思えた。 「あー、えー、なんつーか…甘かったな」 「…うん」 クレープよりも、林檎飴よりも、貴方とのキスが1番甘かったよ。 公開(2010,8,6〜2010,9,30) [*前へ] [戻る] |