太陽のような君に恋をした 暑い。 ギラギラと太陽が照りつけてくる。 それでも、そんな太陽の下に出て、野球練習をしてる俺。 なんたって俺は、野球部キャプテンだし。 …いや、そんなんじゃなくて、1つでも多く勝つために。 「おーい、花井。ちょっといいか?」 グランドの外で、浜田さんが呼んでいる。 ちょうど休憩のときだった。 俺はモモカンに合図して、浜田さんの元へ向かった。 「なんすか?」 「おー、わりぃな、練習中に」 「いや、ちょうど休憩中だったんで。大丈夫っす」 「よかったー。あのな、お前に紹介したいヤツがいるんだけど」 そう言って、浜田さんは後ろを振り返る。 浜田さんの後ろから現れたのは、小柄な女の子だった。 紹介って…どーゆー意味? と、『?』マークを飛ばしていれば、その子はニコッと笑った。 「わー、キャプテンさんですか?すごーい!背、高いんですね!」 そう言って無邪気に笑う。 その笑顔は、キラキラしてて、眩しくて――― ―――なんだか太陽に照らされたみたいに、俺の体温が高くなる。 「名前っていうんだけどさ。新しくチアガールすることになって…一応、キャプテンに知らせとこうかなーっと」 ぽりぽりと頬をかきながら、浜田さんが言う。 「こんなことかよって感じだけど、やっぱ一応…な?」 「いや、わざわざどうも」 「よろしくお願いします!全力で応援するんで!」 ガッツポーズをしてニッコリ笑う名前は、とても生き生きしてる。 キラキラ、輝いている。 眩しい。 思わず、目がくらんだ。 「キャプテンさん?」 「…へ?」 どうやら俺は、名前を見たまま固まっていたらしい。 恥ずかしー…今、俺の顔赤くなったりしてねぇよな? 「あーえと、こちらこそよろしく。いちおーキャプテンやってます。1年7組です」 「あ、そうなんですか?あたし、9組なんです」 また名前は笑う。 体温がまた上昇する。 「あー…9組つーと、田島とか三橋とか、泉とか…浜田さんも、ですよね?」 最後の方は浜田さんを見ながら尋ねた。 なんだか落ち着かない。 「そうそう。同じクラスで話すようになって、『チアガールやりたい!』って言ってくれてさ」 「キャプテンさんのこと、皆からよく話聞いてて…。会ってみたいなって思ってたんです。会えて嬉しいです」 本当にとても嬉しそうに、ニッコリ笑う名前。 なんだか凄く恥ずかしかった。 「あ…いや、どうも」 少し会釈する。 そのとき。 「休憩終わるよ!練習再開するからね!」 モモカンの声。 もう行かなきゃ。 「あ、悪かったな花井。時間とらせて…」 浜田さんが申し訳なさそうに言う。 「あ、いや、大丈夫っす」 「じゃあキャプテンさん、練習頑張って下さい!」 ニッコリ笑って、名前は俺に手を振りながら、浜田さんと去った。 体が火照ってる。 顔の方に熱があるような気がして、俺は頬に手を付けた。 キラキラ輝く名前の笑顔が頭から離れない。 end.(2010,9,3) [次へ#] [戻る] |