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似た者同士

今日は久しぶりにゆっくり登校してる俺。
朝、玄関のドアを開ければ、獄寺くんがいて、さっきの交差点で山本に会って、他愛のない話をしていた。


「ツッ君!」
「名前!?」


幼馴染の名前が、手を振ってこっちにやってくる。
あぁ、また面倒臭いことになるんだろうな…。


「てめぇ、十代目に馴れ馴れしいんだよ!態度改めやがれ!」
「何よ。私とツッ君は幼馴染なんだからね。獄寺にそんなこと言われる筋合いないわよ」
「んだと!?」
「何よ!?」


ギーギーと睨み合う2人。
あぁ…またこうなっちゃった…。
山本は、ハハハ、なんて笑ってる。
この状況、俺にはどうしたって収拾つけられない…。


「まーまー。仲良くしようぜ、2人とも」


山本は笑って2人に言った。


「「誰がコイツと」」


2人はぴったりハモった。
その瞬間、また睨み合う2人。


「何だよ、仲良いじゃねーか」
「「誰が」」


見事に息ぴったりだ。
俺は、拍手を送りたくなった。
それにしても、2人は本当に素直じゃない。
本当は、名前も獄寺くんも、喧嘩したいわけじゃないくせに…。
どうして素直になれないんだろう。
俺にはわかる、2人は、本当は、お互いのこと気になってるんだ(これこそ、超直感!!)。


「大体、何で私ばっかりつっかかるのよ?他の人には特に何も言わないくせに」
「そ、それは…だな、」
「何よ?」
「名前のことが気になってるからだよ」


あぁもう面倒臭い、言ってしまえ。


「え?」
「だから、名前のこと、獄寺くん気になってるんだって」
「じゅ、十代目…!そんなこと、俺、一言も…」


戸惑い始める2人。
山本は、そーなのか?とか言ってた(さすが天然…)。


「名前も、獄寺くんのこと気になってるんでしょ?」
「え…」
「だって、俺独りのときとか、俺と山本で2人のときとかは絡んでこないし。獄寺くんがいるときだけだよね。名前が絡むの」
「ツ、ツッ君…!私、そんなつもりは…」


明らかに2人とも動揺してる。
まぁたまにはね、俺だって言いたいことがあるわけで。
見てるこっちがもどかしい。
早く素直になればいいのにって、何度思ったことか。
結局、俺がキューピット的立場になっちゃったけど、ま、いいよね。


「まぁ2人でゆっくり話してなよ。行こ、山本」
「いいのか?」
「大丈夫。2人には時間が必要だからさ」
「そっか、そーだよな」


ハハ、と笑う山本と俺は、すぐにその場を離れた。
顔が真っ赤のまま、お互いを見合って立ち尽くしている2人を残して。



「遅刻しねーといいけどな」
「…あ」


end.(2010,10,4)



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あきゅろす。
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