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spring come soon


麗らかな日差しが入り込んでくる教室。
暖かい。
春が来たんだなぁ、なんて思っていると。


「おい、名前」


バコッと丸めた教科書で頭を叩かれる。


「痛いじゃない、隼人」
「お前がボケッとしてっから」
「別にボケッっとしてないもん。春だなぁって思って、ボーっとしてたんだもん」
「それをボケッとしてるって言うんだよ」


それもそうか、と思い直す。
そういえば、昔からボケッとしてる子だって、言われてたっけ。


「それより、帰るぞ」
「え、もうそんな時間?」
「…さっき授業終わっただろ」


呆れたように隼人が言う。
そうか、もう授業終わったんだ。
隼人に言われるまで気付かなかった。


ささっと鞄に教科書を詰める。
隼人は横で鞄を片手に待っていた。


「じゃ、帰えろっか」
「おう」


ニッコリ笑うと、照れくさそうに少し笑ってくれた。
隼人の笑みに、少しドキリとする。
やっぱり、隼人は笑うと可愛い。
いつもツンツンしてるけど。



帰り道、桜並木を通る。
まだ春は来たばかりで、桜なんか咲いてない。
でも、


「あ」
「どーした?」
「つぼみがあるよ」
「…本当だな」


桜のつぼみを見つける。
やっぱり、春は着々と来てる。


「…桜が咲いたら」
「ん?」
「花見、とか、良いかもな」


照れたように向こうを向いて、隼人が言う。
その様子に、クスクス笑うと、怒ったように隼人がこっちを向いた。


「いいね、お花見」
「あ?」
「桜が咲いたら、一緒にお花見しよ?」
「…あぁ」


春が来て、桜が咲いて、お花見して。
また一緒に居られると良いね。



end.
(2010,2,9)



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あきゅろす。
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