8 昔の、懐かしい夢を見た。 まだその時は今以上に体力がなく、少し動いたら一時的に寝てしまっていた。 それをわかってる上で、行きたい所があると有坂兄妹に言われ付いてった。 そこは比較的家から近く、いつも連れてってくれる公園とは別の公園だった。 そこで遊んだが、なるべく動かないようにしていた。 しかし、家に着くまで体力が持たず、帰りの道中で寝てしまった。 気づいた時には既に家の近くで、背負られて運ばれていた。 そんな懐かしい昔の夢。 ピピピピッ………。 「………、煩い」 無機質なアラーム音……、そう目覚ましのアラームのような音が耳元で聞こえてくる。 それにウザったく思えて、頭まで布団を被る・・・。 あれ? 被る? 何を? ぃゃぃゃぃゃ、布団を…… 布団!? 確か自分は、墓場にいたはずだ。 なのになんで布団? 手に持った布団の端から顔を覗かせる。 視界には寝る前にはいなかったはずの人がいた。 「ちょい待て、響。起きたでっ」 −ぇ、うそっ− 「嘘言ってどう……って、アホ。手離すな」 暴れるのは勝手だが、人の寝てる上でやらないで欲しい。 そう思いながら再び寝る準備をした。 ら、ヒュンッと風を切る音が聞こえて……、 反射的に避けた。 「はよ起き」 「………起きました」 頭が置かれていた枕には、夾の手に握られていた包丁がぐさりと突き刺さっていた。 ってか、避けなきゃ殺されてたっ。 それよりも何でこの2人がいるのかと一瞬疑問になったが、そう言えば月読がどうのこうのやったからと話してた気がする。 つまり、ぶっちゃけ月読の能力だろう。 「それでさ、ここどこ?」 「どこ言うてもな……」 −涼くんの家としか言いようないし− ぁぁ、理事長のね。 って、その本人はいるのか? それよりも枕、包丁刺さってるけど……。 見なかったことにしようと枕を諦め、出来上がってる朝食を食べる。 まぁ、ついでに自分が何でここにいるのかも気にしないでおこう。 そんな訳で、嫌でも行けと言われ、仕方なく指示された場所で立慧を待っていた。 こんな無茶苦茶な生活が2日続いた。 「俺って凄い?」 「なんか言った?」 「何も言ってないけど……」 そう。と何もなかったかのように明日のことを言ってる。 しかし、そんなのは聞き流し、頭の中では…… この領収書どうしようかな? 今からコレの事務所に叩き付けに行こうかな。 と、考えていた。 とりあえず、相手の事務所まで行くのが面倒だったので、桜にでも引き取って貰おうと渡しに行った。 「この領収書の束は?」 「全部立慧の。まだ増えるだから一旦引き取って貰おうと」 そう言うと、引き取ってくれた。 まぁ、多分領収書の使い道が間違えてるとは思うが……。 「それはそうと、今から寮に戻れ」 「……顔色悪く見える?」 「思いっきりな」 この間はちゃんと寝たんだけど……と話す。 と、良く朝起きれたな。と感心された。 「有坂兄妹に殺害されそうになった」 「………ぁぁ、」 「で、枕に包丁が突き刺さった」 ポツリと言ってみた。 死んでるはずの響の話をしたからだろうが、直ぐに理解したらしい。 伊達にデタラメ人間……ん?人間なのか?……デタラメ人間(一部自称)の夜と朔がいるからなのだろうが、奇怪なことでも周りは普通に受け入れている。 「そう言えばお前の思いつきが通ったぞ」 「ぁ、やっぱり」 そして、俺の明日辺りのことと、土曜日に【今後】の話をすること等々を言われた。 それらの予定が終わると、朔を呼んだ。 『どうかした?』 「寮まで行ってくれる?」 仕方なく寮に帰ることにした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |