◇バレンタイン/跡部景吾
「毎年すごい数だよねーチョコ」
「まぁな」
「全部食べるわけじゃないよね?」
「これだけの数食べれるわけねーだろ」
「だよねー」
毎年バレンタインの日がやってくると、跡部は女の子達から大量のチョコをもらう。
氷帝はもちろん、他校の女の子にも人気が高い跡部は、他校の女の子からもたくさんチョコをもらうわけで。
大きな車、数台分にもなる。
3年生である今年は、去年よりも数が多い。
テニスで全国大会まで行ったから、新たにファンが増えたんだろうと思う。
「名前」
跡部はわたしに向けて、手を差し出してくる。
「…これだけのチョコもらってるのに、わたしからチョコ欲しいの?」
「毎年お前からももらってるだろ」
「あげてるけど。本当にいるの?」
「あーん?」
「だって、これだけたくさんチョコあるんだし。わたしからもらわなくてもいいんじゃない?」
「…お前な。ったく…」
跡部は軽くため息をつく。
「名前からチョコもらわねーと、バレンタインの意味ねぇんだよ」
跡部は真っ直ぐにわたしを見て、さらにこう言った。
「俺様のバレンタインのチョコは…名前からのチョコ只一つだけだからな」
END
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