◆遅刻してみよう/平古場凛 「裕次郎…やーは、いつも遅刻してくるな…」 「今日はいつもより早く来たさー」 「そういう問題じゃないさー。いつも遅刻してくるやーを注意する、風紀委員のわんのことも考えろって」 「そう言われても…遅刻するもんは遅刻するんだばぁ」 「…そっか。風紀委員だから平古場くんはいつも遅刻してくる人を注意してるのか…」 (……わたしも遅刻してみようかな) 翌日。 「自分で遅刻するのって変な気分…」 (でもこれで平古場くんと少しぐらい話せるかも) 「あい?名字やっしー」 「甲斐くん?こんなところにいるってことは、また遅刻?」 「おぅ。そこらへんフラフラしてたら、いつの間にかこんな時間になってたさぁ」 「あはは。フラフラしてるからいけないんじゃない?」 「まぁな。それにしても名字に会うとは思わなかったさー。寝坊か?」 「寝坊じゃなくて…。えっと…実は平古場くんとちょっとでもいいから、話したいなぁって思って…」 「凛と?ぬぅやがー?」 「えーと。まあそれは女心というか…」 「もしかして凛に惚れてるとか?」 「……えと」 「じゅんにかよ?名字みたいな真面目なヤツが凛になぁ」 「自分から話しかけるのは恥ずかしいし…。だから、遅刻してみようかなと思って。ほら、平古場くんって風紀委員じゃない?遅刻した人、注意するの仕事だし」 「なるほどなぁ。じゃあ、わんと一緒に遅刻して、一緒に凛に起こられるさぁ」 「いいの?甲斐くん」 「ああ。真面目な名字が遅刻して、凛がどんな反応するかおもしろそうやっしー」 「ありがとう、甲斐くん」 「裕次郎!やーはまた遅刻して…」 「凛。今日は名字も一緒に遅刻さー」 「えと…おはよう平古場くん」 「……名字!?」 「アハハ。びっくりしてるやっしー」 「……裕次郎。やーが遅刻させたんじゃないんだばぁ?」 「何でわんが!?名字とは途中で会っただけさー!」 「名字。じゅんにか?」 「う、うん。甲斐くんとは途中で会って、それで一緒にここまで来たの」 「……」 「な?わんは悪くないさぁ」 「名字がそう言うなら信じるさぁ…だけど裕次郎。遅刻は許さんやっしー」 「ぬぅやがー?」 「やーは遅刻常習犯やっしー。先生に報告しとくさぁ」 「じゅんにかよ!」 「あの平古場くん。わたしはどうしたらいい?居残り掃除とかすればいいかな?」 「そんなことしなくていいさぁ」 「え?どうして?」 「名字は今回初めてだろ?なら許すさぁ」 「いいの?平古場くん」 「名字だけズリィさぁ…」 「今回は許すけど次は許さないばぁ」 「ありがとう平古場くん!」 「……そのかわり英語を教えてほしいさぁ。…だめか?」 「いいよそのぐらい。どこがわからないの?」 「名字、わんにも教えてくれさぁ!」 「裕次郎はだめやっしー」 「ぬーやが!?」 「あはは。ちゃんと2人に教えてあげるから、やめなよ」 その後、平古場くんと甲斐くんに英語を教えてあげた。 それからは、2人がわからないところを教えてあげたりして、平古場くんと仲良くなれたの。 もちろん甲斐くんとも。 自分で遅刻するのは変な気分だったけど、結果的には良かった。 ほんと、遅刻してみて良かったな。 END [次へ#] [戻る] |