立海大附属
◇いじわるの理由/仁王雅治
「じゃあ、左!」
「残念。またはずれじゃのう」
「またはずれ〜!?」
「全然当たらんのう名字」
「む〜…仁王くんのいじわる〜」
「お前さんの運が悪いだけじゃろう?」
「おや。仁王君に名字さん。図書館にいるなんて珍しいですね」
「柳生か」
「柳生くん、いいところに!仁王くんにちょっと言ってあげてよー」
「仁王君。また貴方は名字さんに、いじわるしているのですか?」
「名字は、いじめがいがあるからのう」
「何よそれ〜」
「ほれ名字。そこの机にキーホルダーがあるぞ」
「えっ、うそ!いつの間に…」
「うそじゃよ。ここにある」
「ちょっ、仁王くんひどい!」
「本当に引っかかりやすいのう名字は」
「遊んでますね仁王君…」
「ひどいでしょ仁王くんって。さっきから私のキーホルダー返してくれないんだよ」
「プリッ」
「返してあげましょうよ仁王君」
「そう、柳生くんの言う通り!返しなさい」
「…仕方ないのう。じゃ、これで最後だ。俺の右手の中か左手の中、どっちにキーホルダーがあるか当ててみんしゃい」
「えー…さっきから何度もやってるけど当たらないじゃない…。もし、はずれたら?」
「さあのう。自分で考えてみんしゃい」
「む〜……」
「名字さん。もしはずれても、私が仁王君から後で預かっておきます。だから安心して下さい」
「さすが柳生は紳士やのう…。さて名字、どっちだ?」
「……んー。じゃあ右手で!」
「ほう。右でいいんじゃな?」
「な、何」
「いいんじゃな?」
「うん…」
「正解じゃよ」
「わ、ほんとだ!」
「珍しいですね仁王君」
「こういうこともある時はあるんよ。名字、左手には何が入っとると思う?」
「え?左手に何か持ってるの?」
「入っとる」
「えーと。キーホルダー?」
「当たり。景品としてプレゼントじゃ」
「いいの?わー、イルカのキーホルダーだ!かわいい!」
「気に入ったか?」
「うん、ありがとう仁王くん!」
「そうか」
「キーホルダーも返ってきたし、私帰るね。じゃあ仁王くん、柳生くんまた明日ね〜!」
「また明日な」
「ええ、また明日会いましょう」
「仁王君」
「なんじゃ?柳生」
「貴方が名字さんにいじわるする理由、なんとなくわかりましたよ」
「さすがやのう柳生」
「名字さんに伝えなくていいのですか?」
「伝える気は、まだない」
「そうなんですか?」
「ああ。まだ、な」
今はまだ毎日会えればいいんじゃよ。
会えたら軽くいじわるして、その間お前と一緒の時間を過ごす。
それだけでいいんじゃよ、今は。
ん?
いじわるする理由じゃと?
それはもちろん…。
お前が好きじゃから……。
END
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