小説
想い、伝えて
「ツイッター?」
「うん。ヴィレイサーもやってみない?」
「呟く事ねぇし。つーか、やり方知らん」
フェイトがツイッターなる機能をやってみようと言うが、ヴィレイサーはこれと言ってやる気がなかった。
「簡単だし……ね?」
「へいへい」
とりあえずと言う事で適当な相槌を打って、しかし1週間が経過しても、結局ヴィレイサーがそれを使うことはなかった。
「使ってないんだ」
「だから、呟く事がないって言っただろ。大体、お前は何を呟いたりしているんだよ?」
「んーっと……何気ない一言でいいんだよ。今何をしている、とか。どこにいるんだ、とか」
「バカか? そんなことをしてどうするってんだよ………。そもそも、居場所を伝えて他の奴に知られたら襲われんじゃね?」
「もう……どうしてそういう考え方するの?」
「…ドラマとかの影響?」
「ヴィレイサーらしいね」
苦笑いして、フェイトはふとヴィレイサーが呟いているのを見つける。『呟く事……特になし』と呟かれていた。
「あはは……さ、流石にこれじゃあフォローのしようがないよ」
「なら、お前も呟けよ」
「えっ!? きゅ、急に言われても……」
無茶苦茶な提案に、フェイトはしどろもどろになる。だが、ふと何かを閃いたのか、頬を少し赤くしている。
「ん?」
フェイトが何かを呟いた。それを確認して、ヴィレイサーは呆れる。『私は、ヴィレイサーのことが好きです』と。
「イタタ!?」
「何してんだよ、バカ」
「だってぇ……」
頬を抓られた上にヴィレイサーに怒られて、フェイトはしゅんと落ち込む。
「…チッ」
舌打ちして、ヴィレイサーは何かを呟く。
「あ……」
それを見て、フェイトは顔を綻ばせる。『俺もフェイトが好きだ』と呟かれていた。
「えへへ♪」
嬉しそうに笑んで、フェイトはまた何かを呟く。それに対して、ヴィレイサーも似た様な事を返す。
『どこが好きだ』とか『こういうことをしたい』とか。ともかく、惚気を呟いていたのだった。
「…2人とも、ツイッターで惚気合戦するんは止めような」
数日して、はやてからそう言い渡された2人。ヴィレイサーはそっぽを向き、フェイトは赤くなった顔を俯かせて反省していた。
──────────
:あとがき
素直じゃないヴィレイサー、相変わらずです。
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