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小説
第5話 「創世の書」
魔法少女リリカルなのはWars
第5話 「創世の書」

「お〜い、戻ったぞ。」

そんなヴィレイサーの言葉に、最初に返事をしたのは、
リュウビのデバイス、イーブン・クレイドルだった。

[おや、ヴィレイサーおかえりなさい。
 リュウビは今、新しい武器を開発中、
 デュアリスは情報収集に行っていますが、そろそろ帰ってくるかと。]

イーブンは、聞かれると思った事を先回りして言った。

その言葉に、ヴィレイサーはげんなりした。

「新しいのって・・・。 微調整とか、サポートしなくていいのか? イーブン。」

[問題ないと思いますよ。
 いままでがいままでなだけに。]

「それもそうか。
 それじゃあ、エターナルも整備するか。」

[はい、お願いします。]


Side:なのは

私たちは今、クロノ君にヴィレイサーさんと、その他諸々の件を報告していた。

「なるほど、だいたいわかった。
 どうやらこの事件は『創世の書』が関係しているようだな。」

「『創世の書』って?」

フェイトの言葉に、クロノ君はキーボードを操作しながら答えた。

「『創世の書』は、『闇の書』と同じようなもので、危険性の高いロストロギアなんだ。
 ただ、いままでの事件と、それに関しての記述からわかっているのは、
 リンカーンコアを必要しない事、持ち主が破壊を願えば、完全に破壊できる事、
 軍隊は何度も作れない、という以上の3点だ。
 それと、最後の軍隊の件だが、1度作った分しかできないらしい。」

「なるほどなぁ。
 それにしても、だいぶ情報が集まって良かったわ。」

クロノ君の情報を聞いて、はやてちゃんは安堵の息をついた。

「ねぇ、クロノ君、ヴィレイサー・セウリオンっていう魔導師、知ってる?」

私はかねてより思っていた事を聞いた。

「ヴィレイサー・セウリオン?」

クロノ君は首を傾げた。

「なのは、それならここのデータベースで調べたじゃねぇか。
 何でクロノ執務官に聞くんだ?」

ヴィータちゃんが聞いてきた。

「ふぇっ? え〜と、なんていうかずっと気になってて。
 だって、ヴィレイサーさん、「今は無所属だな」って言ってたから、
 てっきり以前はどこかに所属していたんだけど、
 その頃のデータを消したって事はないかな?って思って。
 クロノ君とリンディさん、気になった人はピックアップしているって聞いたし。」

そういうなのはを尻目にはやては、
(ホンマにそれだけなんやろうか?)

と、考えていた。


「思い出したっ!」

しばらく考えていたクロノ君が急に声をあげた。

「ヴィレイサー・セウリオン、7年程前まで、確かに管理局に在籍していたよ。
 ただ、彼が所属していた部隊は残念ながら、
 ある事件を担当している最中に壊滅してしまったんだ。
 確かに彼は名前や経歴が異色だったから、データをコピーしておいてほしいと、
 リンディ提督に言われたよ。
 今探してみるよ。」

そう言って、クロノ君はキーボードを叩き始めた。


「あの人の名前って、そんなに変わってるの?」

私は誰ともなく聞いた。

それに答えたのはシグナムさんだった。

「あぁ、古代ベルカ時代より遥か以前の言語で、ヴィレイサー・セウリオンというのは、
 『聖なる堕天使』を意味するらしい。」

「そりゃあ、確かに異色だな。」

ヴィータちゃんは笑いながら言った。


「みんな、これがヴィレイサーの経歴資料だ。」

クロノ君が見せてくれた。

「アラ?
 名前と年齢しか書かれてないわね。」

シャマルさんの言葉に、みんなが賛同した。


そこには、名前─ヴィレイサー・セウリオン。年齢─9歳。(登録時)

それしか書かれていなかった。

私より1つ年上だ。


「ヴィレイサー・セウリオン。
 登録時の年齢は9歳、辞退時は11歳。
 わずか2年だけの登録だ。
 確か、彼が所属していた部隊が事件で壊滅したために辞めたと言われている。」

「結局、新たな謎を呼んだだけか。」

私はため息混じりにそう呟いた。

Side:なのは 了


一方、話題のヴィレイサーは、トレーニングをしていた。

「ハー、疲れた。」

そこに、デュアリスが入ってきた。

「よぉ、今大丈夫か?」

言いながら、彼は冷えたペットボトルを投げた。

わざわざタイミングを見計らって来たらしい。

(仲間なんだから気にしなくても。)

そう思うが、決して口には出さない。

これがデュアリスの優しさだと知っているからだ。


「あぁ、いいぜ。」

受け取りながらヴィレイサーは言った。


「次の任務なんだがな、明後日の午前6時、
 場所はグロリア山脈付近にあるシャイル研究施設で、目的はそこの破壊。」

その言葉にヴィレイサーは眉をひそめた。

「シャイル研究施設って、とりあえずは安全だから保留って、
 いままで延ばしてきてたとこだろ?
 何で今更?」

「そこで例のアンノウンが製造されてるらしいんだよ。」

デュアリスの言う例のアンノウンというのは、
管理局がガジェットとか呼んでいる戦闘兵器だ。

「あぁ〜、アレか。」

かく言うヴィレイサー当人も何度か戦った事がある。

「ちなみに、武器はリュウビが作った、例のバズーカのみだから。」

デュアリスはあっさりと述べた。

「注意事項は1つだけ、カートリッジを使用しない事。 これだけ。」

「何で?」

「今回使用するバズーカは、使用者の魔力量によって威力が変化するから。
 お前は魔力量が十分すぎるんだよ。」

デュアリスは苦笑いした。


「そういえば、話は変わるけど、
 エターナルからの話じゃあ、さっきの任務で管理局相手に名乗ったらしいけど?」

「(あのおしゃべりめ)
 やっぱりまずかったかな?」

ヴィレイサーは不安になった。

「だって、相手がエースオブエースだったって言うし。」

「あぁ、高町・・・なのはだっけ?」

「少し忘れてたみたいだな。
 で、そいつの仲間にクロノ執務官がいるらしくて、
 間違いなくお前はピックアップされてるだろうな。」

ヴィレイサーは悩んだ。

「どうだかねぇ。」

「そういえば、お前がこっちに戻ってきているってこと、
 『親父さんと2人の妹』には言ってないのか?」

その言葉に、ヴィレイサーは体を強張らせた。

「ま、まだ・・・。
 今度の墓参りの時に会って言うつもりだったから。」

ヴィレイサーの言葉に、デュアリスは内心嘆息した。

(そうやって先延ばしにしてるから後が大変なのに。
 まぁ、あの3人なら平気だろうな。)


「さて、もう休もうぜ。
 お前も休んでおかないと、エターナルが怒るぞ。」

「そうだな。 そんじゃあ、お先に失礼します。」

そう言ってヴィレイサーはトレーニングルームを後にした。


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あきゅろす。
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