小説 第16話 「勝利への開門」 魔法少女リリカルなのはWars 第16話 「勝利への開門」 「終わらせる・・・。 この戦いの全てを!」 ヴィレイサーはアースラから単身出撃し、アメノキザハシへと向かう。 「よし、僕らも行くぞ。」 クロノの言葉に、皆が頷き返す。 Side:エクシーガ [エクシーガ様、向こうが動き出しました。] 第1師団のラントナーから通信が入る。 「そう。 ヴィレイサーはここに到達する前に潰しても構わないわ。」 [わかしました。 では、これで。] 「いよいよね。 ヴェルファイア、あなたはこの戦いをどう思う?」 エクシーガは空に手を伸ばすが、それに対する言葉も行動も、 何1つ起こる事は無かった。 「あなたを殺したこの世界を、私は創り変える。 その前に、互いの因縁を晴らしましょうか、ヴィレイサー・セウリオン。」 Side:エクシーガ 了 「ガジェットとダガーは数が多いな。 だが、貴様らにかかずらっている訳にはいかん。」 ヴィレイサーは数多くの敵軍を容易に駆け抜けて行く。 目指すはアメノキザハシのみ。 「墜ちろ! 堕天使!」 カラミティが収束砲を放つが、それは別の誰かが放った収束砲によって相殺される。 「デュアリスか。 助かる。」 「気にすんな。 行けよ、お前の選んだ未来に。」 「あぁ、もちろんだ! ありがとう、戦友(とも)よ。」 戦友に促され、先へと向かう。 「堕天使、今日こそはぁーっ!!」 フォビドゥンがゲシュマイディッヒ・パンツァーを使用したフレスベルグを放つ。 「おいおい、お前の相手は俺だぜ?」 ヴィレイサーへの攻撃を防いだのはヴァンガードだった。 「ヴィレイサー!」 「なんだ?」 「負けんじゃねぇぞ?」 「お前もな。」 ヴァンガードに任せ、もう少しでアメノキザハシに到着する。 「撃滅!」 最後の防衛なのか、レイダーがツォーンを放つ。 「後もう少し何だがな。」 「私を忘れてる?」 リュウビがレイダーの砲撃を大剣で逸らす。 「忘れるわけねぇだろ。 俺は皆に世話になりっぱなしだからな。」 「気にする事はないわ。 私達もあなたに任せっきりなんだから。 ちゃんと帰ってきなさいよ? 自分の為に、私達の為に、なのは達の為に。」 「最後のは余計じゃないか?」 「鈍いわね〜。」 呆れているリュウビに目配せをしてから、アメノキザハシへと入る。 これが最後の戦いだと信じて─── 「テメェか。 レーベでの決着、つけてやるぜええええぇぇぇぇぇぇ!!!」 「俺だって負けはしない!」 「スキュラ!」 「オルトロス・ブラスト!」 カラミティとデュアリスの砲撃がぶつかり、相殺による爆発が巻き起こる。 「トーデス・ブロック! ケーファー・ツヴァイ! シュラーク!」 バズーカとシールドにある2対の砲身、そして肩部の砲を同時に放つ。 「くっ・・・。 やはり武装が多い方が有利だな。」 [ですが、その過信が隙を作ります。] トワイライトが主をサポートするように言う。 「そうだな。 んじゃまぁ、もっと『本気』を出しますか!」 [Yes,My Master. Limit Break.] リミットブレイクを行い、沢山の魔力弾を生成する。 その総数は、軽く40を超えていた。 「クロスファイヤー・アルティメット!」 普通のクロスファイヤーシュートよりも数が多い。 「チィッ!」 カラミティが舌打ちし、それらを次々と叩き落としていく。 「まだまだ行くぜ。 トップガン!」 巨大な弾丸が撃ちだされる。 それは弾速も速く、カラミティに直撃した。 「おぉ、当たった。」 [油断は禁物ですよ。] 「そうだな。 っ! 来る!」 「なめんなぁぁぁぁぁ!!! スキュラァァァァァァ!!」 収束砲が迫るが、デュアリスはそれを難なくかわす。 「俺は絶対に負けない。 信じてくれる皆の為に!」 [Load Cartridge.] カラミティがいらついている今が、正に好機。 「終わりだ! ポジトロン・レーザー!」 [Positron Laser.] 巨大な光の収束砲がカラミティを包み込んだ。 「ウ、ウワアァァァァァァァ!!!」 カラミティを繋いでいた創世の書の力が切れ、 微粒子ほどの小ささになり、消え去った。 「ハァハァ・・・。 あとは、掃討作業だな。」 すぐにその場を離脱し、なのは達の手伝いに向かう。 「ヴァンガード、どうして裏切った!」 フォビドゥンの鎌とヴァンガードの大剣が噛み合い、離れる。 「裏切るとは笑止! 俺は最初から自分の目的の為に動いていたにすぎないんだよ!」 大剣を分離させ、2刀流に切り替える。 「お前らもエクシーガに踊らされているだけだ! 何故それがわからない!?」 「な〜に言ってんのよ? 私達はこうやって楽しい戦争をやれればそれでいい! これ以上に楽しい事なんか無いんだから!」 フレスベルグを放ち、接近する。 「なんだと!? ならお前達は何の為に戦っているって言うんだ!」 シールドを展開し、防ぐ。 接近してきたフォビドゥンの鎌を左手の剣で押さえ、右手の剣で斬りかかる。 だが、相手は互いに押し合う力を利用して飛び退き、それをかわす。 「そんなの知らないわ。 なに? あなたは、何かの為でなければ戦えないとでも言うの!? そんな甘ちゃんなら、死ねええええぇぇぇぇ!!!」 鎌とガトリングガンのアルムフォイヤーを駆使して、ヴァンガードを追いこんでいく。 「ハッ。 だとしたら、テメェは悲しい奴だよ。 ずっとな。」 1度大きく距離を取り、死角に回り込んでから一気にフォビドゥンに迫る。 「ふざけるなああああああああぁぁぁぁぁ!!!」 その攻撃に気付いたフォビドゥンが、フレスベルグを放つ。 そして、それはヴァンガードに当たり、爆発が起きた。 「ハハ・・・。 アハハハハハハハハハハ。」 敵を殺した快楽に浸り、フォビドゥンは笑いだす。 だが、盛大に笑っている彼女の瞳に、あり得ない者が映った。 「ウアアアアアァァァァァ!」 2刀流を背後に向けているヴァンガードだった。 「そぉーらぁぁぁぁぁぁ!」 そして、一気に肉薄したヴァンガードは、 左手の剣を一閃させ、フォビドゥンの両腕を斬り落とす。 そのまま動きを止める事なく、右手の剣で胸部を深々と刺した。 「まだ、楽しみたかった・・・・・・・。」 それを最期の言葉として、彼女は微粒子となり、消えて行った。 「ただの快楽でなんて、悲しすぎて涙も出やしねぇぜ。」 ポツリと言ってから、彼は今の信頼する仲間の元へと急いだ。 「ミョルニル!」 「フェンリルソード!」 レイダーが投げつけてきた鉄球を、リュウビは氷を纏った剣ではじく。 すると、鉄球は見事に凍りついた。 「そんなもんがなくたって!」 レイダーは右手にある2対のマシンガンを連射する。 「強い・・・。 だけど勝機はある!」 [そうです。 自信を失えば負けます。] リュウビの言葉に、愛機のイーブンが応える。 「一気に行くよ! A・P・W!」 [Avalanche Phantom Weapon System Ignition.] 訓練でも使ったように、刀剣類が周囲に数多く出現する。 [Welcome to gehenna of the sword. (剣の地獄へようこそ。)] 「これは・・・。 いったい・・・。」 レイダーが戸惑う中、リュウビは傍にあった剣を見て驚く。 紺碧の刀身───ヴィレイサーに渡したインペリアルだった。 「まったく。 勝手にこっちのストックに加えたのね。 ありがたく使わせてもらうわ!」 笑みを浮かべ、それを引き抜く。 そして尚も戸惑うレイダーに、数多の剣を突撃させる。 「流星剣舞!」 「クッ! このぉっ!」 なんとか回避行動に入るが、間に合わずに四肢に掠ったり刺さったりする。 「お前、よくも!」 激情に任せ、レイダーはリュウビに突っ込んでくる。 「イーブン・クレイドル、カートリッジ、ロード。」 [Load Cartridge.] カートリッジを幾つか消費し、素早く移動する。 それがあまりにも早く、レイダーは一瞬見失う。 「どこだっ!?」 「さよなら。」 背後からの冷酷な声に、レイダーは振り向くが、 その時には既に身体に剣が刺さっていた。 だが、それだけに留まらず、次々に斬り裂かれていく。 「ブレード・デス・マスカレード!」 最後にインペリアルでレイダーを真一文字に斬った。 「あ・・・。 あ、あぁ・・・。」 何も残す事無く、レイダーは消えた。 「さて、まだまだやるわよ、イーブン?」 [Sure.] 2人はすぐにその場を離れ、なのは達の所へ向かった。 [*前へ][次へ#] |