小説 第15話 「終焉の調べ」 魔法少女リリカルなのはWars 第15話 「終焉の調べ」 そして、数日後。 アースラの面々はブリーフィングルームに集合していた。 「あれが、『アメノキザハシ』だ。 エクシーガが内部に入って良いのはヴィレイサーのみと言っていたそうだな。」 「正確には違うがな。 そこで真の決着をつけつとは言っていたが。」 「だが、それに従わざるを得ないだろうな。 我々はガジェットとダガーの相手。 デュアリスとリュウビ、そしてヴァンガードは例の3機を相手にするべきだ。 つまり消去法で必然的にそうなる。」 「クロノ、お前・・・。」 ヴィレイサーはクロノの話を聞いて思った。 「厄介事を俺に回しているだけだろ。」 「いや、そういう訳ではないんだが・・・。」 ただの深読みだった。 「あぁそう。 まぁそういう事にしておくか。」 そして、ブリーフィングから先に出て行った。 「人の話を最後まで聞け!」 「あぁいう奴ですから。」 クロノの言葉に耳を貸さず出て行ったヴィレイサーに、デュアリスが苦笑いする。 「エターナル、勝てると思うか?」 ヴィレイサーは大空に浮かぶ居城を見据えながら愛機に問いかける。 [どうでしょう。 向こうもまだ本気ではありませんでしたからね。 まぁ、彼女以外は敵ではありませんよ。] 「いくらなんでもそれは言い過ぎだろう。」 [私は本当の事しか言いませんよ。 これまでも、そしてこれからも。] 「そういえばそうだったな。 ・・・。 そろそろ行くか。」 [Yes,Leader.] 踵を返し、出撃しようとするヴィレイサーの前に、なのはが現れた。 「ヴィ〜レくん♪」 「何の用だ?」 「もう行くの?」 「あぁ。 向こうも動き出しているからな。」 「そっか。 ねぇ、約束して欲しいの。 『必ず生きて帰ってくる』って。」 なのはが小指を出す。 「指きりか? 下らないな。」 ヴィレイサーは嘆息する。 「ムッ。 今子供だな、とか思ったでしょ?」 「悪いか?」 「ヒドイよ〜。 みんなキチンと約束してくれたのに。」 「みんなって、デュアリス達もか?」 「うん。」 「アイツらまで何やってんだよ・・・。」 「じゃあ、おまじないをしてあげる。 必ず帰ってこれるように。」 そう言って、なのははヴィレイサーを抱きしめた。 「っ!? なんのつもりだ・・・?」 「おまじないだよ♪」 「ふざけているのなら離せ。」 ヴィレイサーの冷淡な言葉にしかし、なのはは笑った。 「そう思うんだったら、自分から離せば? ヴィレくんは優しいから無理だろうけど。」 (何故だ? 何故コイツを離せない?) 「一緒に無事に帰ってこようね?」 「わかった。 約束しよう。」 「ホント?」 「あぁ。 本当だ。」 「鬱陶しいからってのが本音でしょ?」 「・・・。」 図星だったのか、ヴィレイサーから返事は無かった。 「フフッ♪」 「何故そうも楽しそうなんだ?」 「いや〜、ヴィレくんって思った以上に抱き心地がいいし、あったかいし。 気持ちいいな〜って思って。」 「そうか。 それよりなのは、1ついいか?」 「ん〜、な〜に〜?」 「フェイトとはやてが見てるんだが。」 「ふぇ!?」 「そっか〜、なのははヴィレイサーの事が好きなんだ。」 「なんや、オモロイ修羅場になってきたなぁ。」 「ち、違うの、2人とも。 これはただのおまじないで・・・。」 なのははすぐさまヴィレイサーから離れる。 「フェイトちゃん、あんなおまじない、聞いたことある?」 「無いよ。」 「い、今思い付いたの。 だから別に好きとかそんなんじゃなくて・・・。」 「ウチらには指きりで、大好きなヴィレくんには抱きつくんか。 なんや、そんなに好きやったらさっさと告白すればええやん。 なのはちゃんもフェイトちゃんも。」 「「別に好きだからやったわけじゃないの!!」」 「力説せんでもええのに。 なぁ、ヴィレくん? って、あれ? ヴィレくんはどこに行ったん?」 「「あれ?」」 「クロノ。」 「ん? あぁ、ヴィレイサー。 どうした?」 「いや、優先事項の確認をしておきたいんだ。」 「優先事項?」 「あぁ。 何をどうするのが最優先か、それをハッキリとさせておきたいんだ。」 「そうだなぁ。 創世の書の破壊か、エクシーガを逮捕するかのどちらかだな。」 「わかった。 ありがとう。」 クロノに背を向け、出撃の準備をする。 (俺はエクシーガを『倒さない』。 必ず『止めてみせる』。) 決意を秘め、大空を見据えた。 それはエクシーガも同じだった。 彼女も大空と自軍の部隊を見つめる。 ((まもなく最後の戦いが始まる。)) ヴィレイサーとエクシーガは同じ事を思う。 ((この戦いの先の扉に、最後の勝利者がいる。 この戦いに勝つのは・・・。)) 「俺だ。」 「私。」 最後の戦いの開幕は、もう間もなくだった─── [*前へ][次へ#] |