[携帯モード] [URL送信]

小説
第13話 「激突する天空」
魔法少女リリカルなのはWars
第13話 「激突する天空」

ヴィレイサーがシグナム達の所に向かっている最中、
リュウビと合流し、2人で第4師団を殲滅する。

その頃、フェイトとシグナムは、1人の青年の前にいた。

「シグナム、知り合いですか?」

「いや、まったく知らないな。」


「知らなくて当然だ。
 俺が一方的に憧れを抱いているだけだからな。」

青年、ヴァンガードが笑って言った。

「それで? 私と1対1がしたいと言ったな。」

「あぁ。 そこの金髪はどうでもいいや。
 奥に行けば、創世主軍俺の主に会えるぜ。」

「あなたは、創世の書から創られた訳ではないの?」

「違うよ。
 あんな風に従うか、戦うしか脳の無い輩と一緒にしないでほしいね。」

「テスタロッサ、お前は先に行け。」

「シグナム・・・。 わかりました。」

フェイトはヴァンガードを横目に見ながら、更に奥へと進んだ。

「それじゃあ、気兼ね無くやるとしますか。」

後ろの大剣を片手で軽々と引き抜く。

「いいだろう。
 レヴァンティン!」

[Explosion.]

「アークティック!」

[Freeze.]

レヴァンティンが炎に包まれ、ヴァンガードのデバイス、アークティックが氷を纏う。

「紫電一閃!」

「氷爪断斬(ひょうそうだんざん)!」

2つの刃が激突し、煙が巻き起こる。

そこから先に脱したのは、シグナムだった。

「飛竜一閃!」

炎の衝撃波をまだ煙の立ち込める箇所へと放つ。

「氷花停流(ひょうかていりゅう)。」

だが、ヴァンガードに当たる直前で衝撃波が止まった。

そのまま、徐々に白い氷をつけ、終いには衝撃波の全てが凍りついた。

「っ!?」

「この程度か? もっと本気で来てくれよ。」

ヴァンガードは驚いているシグナムを睨みつける。

そして、一気に肉薄し、大剣を振り下ろす。

シグナムはそれをかわし、シュランゲで大剣を捕らえた。

「力比べか?
 だったら負けないぜ。」

だが、シグナムも負けずに、両者の力は拮抗していた。


「やっぱりこういう戦いはいいよな。」

「何?」

「だってそうだろ?
 戦っている時こそ、俺もあんたも充実しているんだ!」

「ヴァンガード・・・。」

「俺とあんたは同類だ。
 戦いの中でしか、己の存在意義を見出す事が出来ない!」

「違うっ!」

シグナムは強く言い放った。

「今の我々は主の為だけに戦うのではない!
 仲間との温もりの間で、自分の存在意義を見出している!」

「っ!」

一気に押し返され、ヴァンガードは体勢を崩す。

そこへ追撃をしたシグナムの刃が彼の右肩を斬った。

「がぁっ!?
 くっ、やるな・・・。
 シグナム、あんたの考えも納得できるぜ。
 だが、俺は自分の考えを否定しない!
 俺の全力を受け切れるか! 烈火の将!」

[Load Cartridge.]

アークティックがカートリッジを数発使用する。

そして、周囲の空気が急激に凍りついていく。

「本気のようだな。
 レヴァンティン!」

「Bogen Form.」

シグナムも彼の本気に答えるべく、最強の一手で勝負する事を決めた。


一方、奥へと進んでいるフェイトの前にも、敵が現れた。

風になびく銀の長い髪を、彼女、エクシーガは気にもとめなかった。

「あなたが、創世主軍のリーダーですか?」

「えぇ。
 私の名はエクシーガ。
 エクシーガ・スラスト。
 あなたは・・・フェイト・テスタロッサかしら?
 プロジェクトFで生み出された成功作。」

「違う。
 私は成功作なんかじゃない!
 どこも皆と変わらない、人間だ!」

バルディッシュをハーケンに切り替え、肉薄する。

「ハァーッ!」

躊躇いも無く振り下ろした刃はしかし、見えない障壁によって阻まれた。

「えっ!?」

「絶破十字衝(ぜっぱじゅうじしょう)!」

そして、反撃に応じたエクシーガの十文字斬りが当たる。

「つぅっ!」

浅いものの、エクシーガの剣の振りは予想以上に早かった。

「やはり、『失敗作』の私でもこの程度の敵なら容易いわね。
 ならば、『成功作』の彼の力量はいかほどのものか、気になるわ。」

大剣ほどの大きさではないにしろ、

長剣をあそこまで早く振れる者など、そうはいないだろう。

(つ、強い・・・。
 ここは一度距離を取って、砲撃で沈める!)

持ち味のスピードを活かして、エクシーガから瞬時に距離を取ったフェイトは、
素早く魔法陣を展開する。


「トライデントスマッシャー!」

トライデント(三つ又)の名の通り、黄色い3つの光がエクシーガに直撃した。

「やった!」

フェイトは爆心地を安堵しながら見つめる。

だが、そこには・・・

「そ、そんな・・・。
 確かに、直撃したはず!」

そこには、攻撃が当たる前と同じ姿のエクシーガがいた。

バリアジャケットもまったく傷ついていなかった。

「あなたは確かに私に攻撃した。
 けどそれは、私の防御を貫けなったにすぎない。」

確かにフェイトの砲撃はなのはよりも劣るが、それでもかなりの強さを誇っている。

それをなんとも思わずに受け止めきるエクシーガとは、いったい。


「フッ。」

エクシーガが笑ったと思った瞬間、彼女は消えていた。

「なっ!?
 うわぁっ!?」

フェイトが驚いた直後、背中に衝撃が走った。

「この程度のスピードにもついてこられないとはね。
 いささかがっかりよ。」

右手の長剣を高く振り上げ、魔力を込める。

それにより、刃は更に一回りも二回りも大きくなった。

「エクス・・・キャリバー。」

静かに言い、刃をフェイト目掛けて振り下ろす。


[Sonic Move.]

バルディッシュが回避速度を速める。

だが、完璧に回避できずに足から出血する。

「くぅっ!」

「ここまでのようね。」

首筋に長剣がピタリと当てられる。

(ヴィレイサー!)

この危機的状況に、フェイトは何故かヴィレイサーの事を思い浮かべた。


「覚悟はいいか! シグナム!」

「お前こそな。 ヴァンガード!」


「アークティック・ブリザード!」

「シュツルムファルケン!」

空気中の水分を凍らせた衝撃波と、炎の矢がぶつかり合う。

どちらも負けたくないという気持ちをだったが、必ずどちらかが敗れる。

それが、戦いの宿命なのだ。

そして、この2人の戦いの勝利者は───

「っ!
 ぐあぁっ!?」

「私と、レヴァンティンの勝ちだ。」

シグナムだった。


「見事だ、烈火の将。
 負けておいてこういうのは虫がいいとは思うが、俺も仲間にしてもらえないか?
 元々そのつもりだったし、あんたの考えも理解するためにも。」

「私は構わんぞ。
 来い、ヴァンガード。」


「さようなら、フェイト。」

「龍爪旋空破(りゅうそうせんくうは)!」

エクシーガに斬られる直前、数多くの風の刃が飛来する。

「チッ。」

エクシーガはすぐに飛び退き、それをかわす。

「ようやく『成功作』のおでましね。」


「ありがとう。 ヴィレイサー。」

フェイトは安堵の声をあげる。

「っ!?
 お前は・・・エクシーガ!?」

「久しぶりね、襲牙。」

2人は街中で1度だけ会い、会話をした事がある。

だが、あの時は互いの事を何も知らなかった。

「私はレーベであなたの事を知ったわ。
 けど、今のあなたの様子を見ると、
 どうやら私が創世主軍のリーダーである事は知らなかったようね。
 冷静さを欠いたこの状態なら、『失敗作』のレッテルを貼られた私でも、
 『成功作』のあなたに勝てるかもしれないわね!」

長剣を一振りし、接近戦を仕掛ける。

「くっ!」

「ハァァァァーーーー!!!」

凄まじい速さで繰り出される剣戟に、ヴィレイサーは防戦一方だった。


(まさか、エクシーガが創世主軍のリーダーだったとは・・・。
 このままでは、俺は負ける!)

「聖漣光迅!」

「天龍衝破(てんりゅうしょうは)!」

互いの技の奔流がぶつかり合い、刃が噛み合う。

フェイトは何もできない自分がもどかしく思えた。


「閃光墜刃牙(せんこうついじんが)!」

「テンペスト・ラッシュ!」

技の出が早いものも相内に思えたが、徐々にエクシーガが押していた。


「絞牙鳴・・・「遅いわ。 アルティメット・ストリーム!」」

ヴィレイサーが次の技を放つ前に、エクシーガの攻撃が彼を斬り裂いた。

「っ! しまっ・・・!」

四肢だけでなく、額など至る所から鮮血が飛び散った。


「ヴィ、ヴィレイサー・・・?
 ヴィレイサー!」

フェイトの悲痛な叫びは、もちろん意味をなすはずなど無かった。


「この程度。
 『プロジェクトC、唯一の成功作』が、『私のような失敗作』に敗れるとはね。」

エクシーガの言葉に、かろうじて意識があったヴィレイサーが驚く。

「ま・さか・・・。
 おま・・えも、被験者・・・なのか?」

「えぇ。
 『あなたと同じプロジェクトCHAOSで造られた人間兵器』よ。
 違うのは、『成功』か『失敗』かだけ。」

「プロジェクトCHAOSって、何?
 あなたとヴィレイサーはいったい!?」

「私達は、元となる人間を基盤に、強者の遺伝子を組み込まれたの。
最強の人間兵器を造る為に。」

「そ、そんな・・・。」
フェイトは言葉を失う。

「それにしても、『成功作』がこの程度とはね。
 それとも、まだ本気じゃないだけかしら?
 もしそうなら、創世主軍の砦、『アメノキザハシ』に来なさい。
 そこで真の決着をつけるわ。」

そう言って、エクシーガは飛び去った。


[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!