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小説
双六ゲーム-2 ☆




「では、次は俺達だな」

「私達もそろそろ赤いマスに止まりそうやな」


 はやてがそんな事を言ったのも束の間、2人の進路上にある升目は、ほとんどが赤く染められていた。どう足掻いても、回避するのは難しそうだった。


「…で、やはり俺達も止まる訳か」


 出た目に従い、その数だけ進むと、やはりと言うべきか赤いマスに止まった。


「レオンの1件で、自分のカードを引くのが怖いな」

「ほんなら、私が引くよ」

「臆病者だなぁ」

「黙ってろ、変態」

「誰が変態だ!」

「今のお前の姿は、正に変態だろ」

「アルクの言う通りだぞ、レオン。今のお前を変態と呼ばずして、何と呼ぶ?」

「一々横槍を入れるな、この女誑し!」

「誰が女誑しだ!」

《はやてちゃんのカードは……》

《【10分が経過するまで、ペアの人をお兄ちゃんと呼ぶ】……です》

「簡単そうな奴で済んでよかったわ。」


 ホッと胸をなでおろし、はやてはアルクに向き直る。


「ほんなら、しばらく『お兄ちゃん』って呼ばせてもらうな、お兄ちゃん♪」

「…ぐっ!」


 はやての笑顔に、アルクは一瞬だけ言葉に詰まる。


「アルク、滅茶苦茶顔がにやけてる!」

「に、にやけてなどいない!」

「いや、説得力ないぞ……」


 レオン達からの言葉に反論するアルクだったが、その顔はニヤニヤしそうなのを必死で我慢しているのが丸分かりだった。


「どないしたん、お兄ちゃん?」

「な、なんでもないさ!」

「アルク、せめてにやけるのなら存分ににやけろ! 顔が歪になってて逆に怖いから!」

「にやけてなどいない!」

「だから説得力がないって言ってるだろ!」

《ヴィレイサーさん、後が閊えてるですから、お早くお願いするです》

「え、けど俺が投げたらすぐにコルトの番になるし……」

「そんなに僕に番を回したくないんですか!?」

「いや、だってスバルの奴、笑顔だし……なによりコルト、お前も満更じゃない顔してるじゃん」

「してませんよ!?」

「鏡を見てから言おうな、コルト。」

「ぼ、僕のことはいいですから、早く投げてください!」

「へいへい。フェイト、メイヤ、サイコロを投げたいから、腕を離してもらっていいか?」

「え……うん」

「分かりました……」


 ヴィレイサーからの頼みに、2人は心なしか残念そうにし、そして腕を離す。


「そんなことで気落ちするなよ。」

「お詫びに、今夜は2人を寝かさないってよ」

「えぇ!?」

「はぅ!」


 女装したレオンの悪ふざけにすぐに顔が真っ赤になる2人。ヴィレイサーは持っていたサイコロを投げようと頭上に掲げるが、すぐにレオンは両手を上げて謝った。


「悪かったよ」

「まったく……」

「……否定はしないんだな……へぶっ!?」


 ニヤリと笑い、ヴィレイサーが否定をしないことをつつくレオンだったが、ヴィレイサーからサイコロが投げられ、顔面にそれが激突した。


「後でしばくぞ、お前。」

「私、しばかれちゃうんだ……」

「ヴィ、ヴィレイサーさんがそれをお望みでしたら、私は別に……」


 ヴィレイサーの言葉に、変な方向に頭がシフトしてしまったフェイトとメイヤ。そんな2人にデコピンをお見舞いして、現実に引き戻す。額を押さえて涙目になっているフェイトとメイヤに苦言し、レオンにぶん投げたサイコロが出した数だけ進む。


「ぐっ、こんな時に限ってイベントマスかよ……」


 ペアである2人の今の状態で、イベントが行われる升目に止まり、ヴィレイサーは肩を落とす。


「また俺が引くか?」

「いえ、次は私のでお願い致します。」


 ヴィレイサーからの確認に、今度はメイヤが引くと言った。


《メイヤのイベントは……お、チャンス・イベントっすね》

「チャンス・イベント?」

《このイベントをやると、チャンスカードを引けるんすよ》

「今後の為にも、頑張ります!」

《では……【ペアの人とポッキーゲーム】……してください》

「え……えええぇぇ!?」


 メイヤが意気込んだのも束の間、出されたお題に彼女は真っ赤になる。


「む、無理です!」

「即行で断ったなぁ……」

「妥協案として、【皆の前でキスをする】に変更してもええよ」

「もっと無理です!」

「いや、それでいいや」

「へ……?」


 はやての打ちだした妥協案も、メイヤにすぐさま棄却されるが、何故かヴィレイサーはそれを了承した。そして、ヴィレイサーのその言動にメイヤが首を傾げた瞬間───


「ん!?」


 ───メイヤの唇が塞がった。


「これでいいだろ?」


 自身から唇を重ねたと言うのに、ヴィレイサーは平然とはやてに問う。


「あ、相変わらず躊躇ないな」

「どうやったらそうなれるんすか」

「ブルズはなんなくていいから」


 レオンはヴィレイサーの素早い行動に苦笑し、ティアナはブルズがヴィレイサーのようにならぬよう釘を刺す。


「あ、あの!」

「ん?」

「引いたカードは私の物ですから、あのお題は、私がやるべきです。だ、だから……!」


 顔を真っ赤にしたまま、今度はメイヤからヴィレイサーへと唇を重ねた。


「こ、これで、いいでしょうか?」

「メイヤ、グッジョブ!」


 メイヤの行動に、はやてとレオンはサムズアップして彼女の行動を称えた。


「むぅー……」

「イデデデ!?」


 しかし、メイヤと同じようにペアであるフェイトは、ヴィレイサーの爪先を踏みつけていた。


「嫉妬するぐらいなら、メイヤとヴィレイサーの仲を認めなければ良かったものを……」

「まぁ、こっちは多重婚が認められてるし、フェイトちゃんもメイヤを怒りつけるなんて無理やろうからな……。
 メイヤがヴィレくんを好いてるんを誰よりも知っているからこそ、その仲を認めて、多重婚を持ちかけたんやろ」

「しかし、どちらかに口付けをしようものなら、もう1人から嫉妬の眼差しがくる。ヴィレイサー、哀れな……」


 アルクのそんな呟きに、会場にいた誰もがうんうんと頷いていた。


《では、チャンスカードを選んでください》


 リインフォースUの言葉に合わせるように、メイヤの眼前にパネルが表示される。


「では、これで」


 頷き、メイヤはたおやかな仕草でパネルに指を走らせる。


《効果は……【自分以外のチームの番を1回遅らせる】………です》

「1回休み、と言う訳ですか。ヴィレイサーさん、誰にしますか?」

「そりゃあ、やっぱり……」


 チラリとヴィレイサーが視線を向けた先にいたのは、満面の笑みを浮かべているコルトとスバルの2人だった。


「もう少し幸福感に浸っていてもらうかな」

「いや、そこはレオンの方がいいんじゃないか?」


 しかし、アルクがヴィレイサーの意見に異を唱える。


「アルク! お前は余計なことを言うな!」

「余計なことだと? 俺はそんな事を1度も言った覚えはない!」

「黙れ、このシスコン!」

「なっ!? だ、誰がシスコンだ!」

「はやての『お兄ちゃん』発言にデレデレだろうが!」

「そんな訳があるか、この変態!」

「俺は好きでこんな格好になった訳じゃない!」


言い争う2人を無視して、ヴィレイサーはコルト達を指差す。


「コルトとスバルの番を飛ばす」

《分かりました》

「そんな!」

「何だ? コルトは今すぐにでもスバルから手を離したいのか?」

「そ、そういう訳じゃないですけど……」

「ならいいじゃねぇか」

「でも、優勝したいですし……」

「景品が気に入らなかったら、お前にやるよ」


 コルトにそう言い聞かせて、ヴィレイサーはブルズ達にサイコロを回す。


「それ!」

「6ね」

「結構進みが早いな、あの2人」

「出た目が大きいものばかりだったからな」

「また赤いマスか……」

《今度はチャンスカード付きですよ》

「さっきのメイヤさんのを見ると、かなりやるのが怖いわね……」

「んじゃあ、イベントはまた俺のカードを引くか」

《イベント内容は……【AかBのどちらかを選べ!】………だな》

「何かヒントとかくれないんすか?」

《そんな甘い双六ではないですよ》

「うーん……」


 AとBのどちらを選んでも嫌な予感しかしないブルズだが、やはり考え込んでしまう。


「ティアはどっちがいい?」

「ここで私に振る?」

「お前が選んでくれたものなら、なんだって出来る気がするんだよ」

「言うわねぇ……それじゃあ、Aをお願い」

「リイン曹長、Aでお願いします」

《はいです。えっと、Aは……【ペアの人をお姫様抱っこする】……ですよ》

「マジっすか!?」

《マジっすー♪》


 驚くブルズに、リインは口調を合わせる。


「まぁ、それくらいなら俺は平気っすね」


 そう答えて、ブルズは素早くティアナをお姫様抱っこした。平気そうな顔をしているブルズとは違い、ティアナの顔は真っ赤だ。


《で、その状態で縄跳びに挑戦するですよ》

「「この状態で!?」」

《10回跳べたら、チャンスカードを引けるです》

《準備はいいか?》

「OKっす」


 ヴァイスからの確認に手早く答え、ブルズは縄跳びの前に立った。


《それじゃあ、スタートですぅ!》

「……8、9、10!」

《クリアですね》

「さすがはブルズだ。 ティアナの前で醜態は晒さないな。“兄と違って”」

「まったくだ。“兄とは大違い”だな」

「ヴィレイサー、アルク! お前達はいつまで俺を引き合いにだす気だ!」

「「お前が着替えるまで」」

「お前ら……!」

《チャンスカードの効果は……【既に行われたイベントを、誰かにやらせる事が出来る】……だ》

「へー、面白そう」

「誰にすんの?」

「そりゃあもちろん……ヴィレイサーさんだろ」

「何で俺なんだよ!」

「さっきはメイヤさんが美味しい思いをしたからっすよ。フェイト分隊長、酷くご立腹みたいですし」

「くっ……」


 ヴィレイサーが反論しない所を見ると、彼自身もそう思っていたのだろう。


「イベントは当然、【ペアの人とポッキーゲーム】っすよ」

「チッ……」


 舌打ちし、ヴィレイサーはフェイトの顎を、指で自分の方に向けさせる。


「ポッキーだとまどろっこしいんだよ」


 そう言って、ヴィレイサーはすぐにフェイトと唇を重ねた。


「…これでいいか?」

「相変わらず手早いですけど、つまんないっすね」

「俺に面白さを求める時点で間違ってるんだよ」

「ヴィ、ヴィレイサー」

「ん?」

「メイヤは自分からキスしたし、私も、自分からしてもいい?」


 頬を朱に染め、フェイトは上目遣いになる。


「お前は俺の恋人で、俺はお前の恋人だろ? 許可なんていらない」

「…ありがとう」


 1度ヴィレイサーをギュッと抱き締め、フェイトは彼の頬にキスをした。


「えへへ♪」

「それにしても、フェイトもメイヤも互いにヴィレイサーを愛しているのに、よく喧嘩しないな」

「ヴィレくんがしっかり緩衝材みたいな役割を果たしているんだよ、きっと」

「じゃなきゃ、あっという間に終わっているか」

「そうだね」

《なのはさん、レオンさん、御二人の番ですよ》

「ようやくか……我が世の春が来たああああぁぁぁ!」


 バリアジャケットが解除されることに、レオンは歓喜の声を上げる。そしてそれに応えるように、身体が光に包まれ、バリアジャケットが解除された。


「さっさとこの汚名を雪がせてもらう!」


 サイコロを放り、出た目の数だけ進む。


「今度はチャンスか……」


 立ち止まったマスを見て、表示されるチャンスカードのパネルを押す。


《お、チャンス・クエスチョンです》

「チャンス・クエスチョン?」

《クイズに答えて、それが正解したら、1〜6の好きな数だけ進めるですよ》

「ほう、面白そうだな」

《では問題です! 【なのはさんのスリーサイズは?】》

「ふえぇ!? な、何でそんなクイズが出るの!?」

「えっと、確か上から……」

「そしてレオンくんは何で分かるの!?」

「やっぱり、もうなのはちゃんに手を出してもうたんやな」

「そうとしか思えん」

「まぁ、レオンだからな。別におかしいことでもないだろ」


 はやてとアルクの会話を、ヴィレイサーは“レオンだから”と言う言葉で片付けた。


《残念ですけど、バストが違うですよ》

「そうだったか?」

《レオンさんが言った値より、少し大きいです》

「リイン! 恥ずかしいから止めて!」

「レオンくんに揉まれたからやな」

「さすがに手が早いだけはある……」

「そ、それよりリイン、チャンスカードの効果は?」

《えっと……【自分を含めた、チームがいる好きなマス目にワープ出来る】……ですね》

「他の所は全部イベントマスじゃないか! 今いる所にワープするに決まっているだろうが!」

《では、もう1度チャンスカードを引いてください》

「じゃあ、これ」


 なのはがパネルに指先を当てて、カードを選ぶ。


《【もう1回サイコロを振る】……です》

「そりゃ!」


 リインフォースUが言い終わるや否や、レオンはすぐさまサイコロを振る。


「…8か」

「一気にゴールに近付いたね」

「次は私達やな」

「あぁ」

「アルク、滅茶苦茶残念そうな顔をしているぞ」

「もう“お兄ちゃん”と呼ばれないからな」

「俺はそんな顔していないし、残念に思ってなどいない!」


 はやてがサイコロを投げると、7が出た。


「なのはちゃん達とこれ以上開くんは、なんとしても避けたい所やな!」

「そうだな」


 なのは達のすぐ後ろにつき、はやてとアルクは意気込んだ。


《イベントマスです》

《内容は……【今後は、指定された衣装でプレイする】……ですね》

「コスプレまであるのか……」


 リインフォースUとヴァイスの説明に、全員が固唾を呑む。


《衣装は……アルクさんは【白衣】、はやてちゃんは【ナース服】です》

「まぁ、俺の方は幾分かはまともだな」


 床からせりでてきた更衣室にあった白衣に袖を通し、雰囲気を出す為に用意された聴診器を首にかける。ちなみに、はやてはもう1つの更衣室で着替え中だ。


「何で俺の時には更衣室が2つ出てこなかったんだよ!?」

《レオンさんとなのはさんなら、問題ないと思ったからですよ》

「差別だ……」

「ふむ、さほど動きが鈍ることもなさそうだな」


 白衣を纏ったアルクは、普段からかけている眼鏡により、更に博学であるように見える。


「光るメス! 唸る聴診器! この世の魔物は、天才外科医アルクが解剖する……って感じか?」

「なら、手始めにレオンから解剖しよう」

「俺は魔物じゃない!」


 レオンがそう叫び終えると、はやてが出てきた。


「ど、どうやろ?」


 自分の服装が変ではないかと心配になり、アルクに上目遣いになりながら訊ねる。


「まぁ、その……似合っているぞ」


 頬を掻き、アルクは可愛らしい姿になったはやてから視線を逸らす。


「ほ、ほんまに?」

「あ、あぁ」

「せやったら、何で顔背けるん? ちゃんと私を見て言って欲しいわ」

「それは、その──……から」

「ほえ?」


 モゴモゴと口籠るアルクに、はやては小首を傾げる。


「だから、はやてが可愛いから!」

「あ……」


 アルクが言いたかったことが分かり、2人とも顔を真っ赤にする。


「さ、さよか。ア、アルクもかっこええよ」

「そ、そうか」

「ヴィレイサー、投げないのか?」

「今はその時じゃないだろ」


 完全に2人だけの世界に入っていったはやてとアルクの邪魔をする訳にもいかず、ヴィレイサーはサイコロを投げずに、待つことに。やがて互いに我に返り、ヴィレイサー達に順序が回ってきた。


「5だね」


 出た目の数だけ進み、イベントマスに立ち止まる。


「またイベントか……」

「じゃあ、次は私のを引いて」


 溜息を零すヴィレイサーをメイヤに任せ、フェイトは自分のカードを引くように進言した。


《お、フェイトさん達もコスプレっすよ》

「変な奴じゃないといいんだがな……」

《衣装は……【執事服とメイド服】……っすね》

「面倒なものが出たなぁ……」


 床から更衣室が3つ登場し、各々着替え始めた。


「…息苦しい」


 一番にヴィレイサーが着替えを終えて、開口一番呟いた。


「似合わないな……」

「言われなくても分かってる」


 レオンの評価に、ヴィレイサーは苦笑し、ネクタイを緩めた。


「フェイト、メイヤ、まだかかりそうなら、コルトとスバルに番を回すぞ」

「い、今出るよ!」

「私も、大丈夫です」


 そう返して、2人は同時に出てきた。


「…って、なんだよその格好は……?」

「だ、だって……」

「これが準備されていましたので……」


 2人とも恥ずかしそうにしており、メイヤはやや短いスカートの裾を下に引っ張っていた。


《【ネコミミフリルメイド】です♪ 御二人とも、凄く可愛いですよ》

「ありがとう、リイン」

「フェイトさんはこのスカートの裾、短いと思わないんですか?」

「まぁ、あんまり」

「羨ましいです」

「そ、そうかな?」

《ちなみに、フェイトさんとメイヤさんはちゃんとヴィレイサーさんを“ご主人様”って呼ぶですよ?》

「俺、執事服着ているのに?」

「「ご、ご主人様」」

「は、恥ずかしいのなら言うなよ」


 揃って上目遣いに言われて、ヴィレイサーは顔が赤くなるのを感じて慌ててコルトにサイコロを渡した。


「一番後ろになっちゃったね……」

「でも、私は気にしないよ。コルトに抱き締めてもらって、とっても嬉しかったから」

「ぼ、僕も嬉しかったよ」


 すっかり2人だけの世界を形成したコルトとスバルに、ブルズとティアナは苦笑いしていた。


「なんとしてでも、トップに立たないとね!」


 1つ意気込み、サイコロを投げる。


「うーん、4か」

「微妙な数字だね」


 ここからトップに立つのは難しいかと諦めかけたが、リインがチャンス・イベントだと教えてくれた。


「イベント内容は、私のカードを引いてください!」


 先程とは違い、今度はスバル側のカードを引くことにする。


《イベントは……【二人羽織で制限時間内に完食せよ】……です》

「完食って……何をですか?」

《なんでもいいぞ》

「スバル、これは絶好のチャンスだね!」

「うん! リイン曹長、アイスを準備してください!」

「アイスか」

「スバルの好物をここで活かすみたいね。けど、口に運ぶのはコルトよ? そんなに密着している状態で大丈夫なのかしら?」

「まぁ、そこはコルトの精神力に期待するしかないな」

(うぅ……さっきはああ言ったけど、またスバルに抱きつくんだよね)

(さっきとは状況が違うけど、またコルトに抱き締めてもらえるんだよね。やっぱり、緊張する)


 ブルズとティアナが心配した通り、コルトは内心でかなり緊張している。もっとも、それはスバルも同様で、彼女もかなりドキドキしていた。着々と準備が進み、コルトがスバルにアイスを食べさせることになる。


(コルト、やっぱり温かいなぁ)


 再び感じられるコルトの温もりに、スバルの鼓動が早まる。そしてコルトも、スバルの髪から香る、馨しいシャンプーの香りに酔いしれていた。


《では、よーい……スタートです!》


 リインフォースUの合図とともに、念話を駆使してコルトは的確にスバルの口へアイスを運んでいく。そのスピードたるや凄まじく、誰もが舌を巻いてみていた。


「よくもまぁ、あんな状態でクリア出来たもんだ」

「まったくだな」


 あっという間に食べ終わったアイスの山があったはずの皿を眺め、ヴィレイサーとアルクは呆然としていた。1度も失敗する事がなかったのは、スバルの動きを熟知しているコルトだからこそ出来たのだろう。


「チャンスカードは……これ!」

《えっと……【別のチームがいる好きな場所にワープ】……だな》


 スバルが選んだチャンスカードの効果に、2人は大喜びした。


「もちろん、レオンさんとなのはさんの升目です!」

「早くも追いつかれたか……」


 隣に並んだコルトとスバルに、レオンは苦笑した。


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