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短髪ルーク



「なぁ、」

返事がない。
視界が反転する。
元々はルークと向き合って会話をしていた筈だ。
なのに、どうして。

「なぁ、ルーク」

赤毛を垂らした少年が、覆い被さる。
それも唐突に、だ。
まるでこれではルークに自分が押し倒されている様。
ルークの行動の意図が掴めずに少しの時間だけが過ぎた。
いつものおふざけか、と思い出し笑いを見せるとルークは眉を顰めて声を放った。

「何がおかしいんだよ…」
「だって…なぁ。お前コレ、何してるんだ?」

ポリポリと後頭部を掻き、疑問をストレートにぶつけた。
今までこんな不明な行動したことなかったろ、と。

「見れば分かるだろ。ガイを押し倒してんの」

思わず驚いてルークを見つめた。
押し倒している…?俺を、何故。
口を尖らすルークをまじまじと見つめ、ますます意図が分からずに混乱する。

「どうして…」
「好きだから」

好き…?ルークが、まぁ、人に好かれるのは嫌いじゃないが。
それにしてもあっさり流されすぎて、現実味が無い。
こういうことはもっと真剣になって言うことだと思うんだが…。
このルークの行動は根本的なところから好きと何か違う様な気がするのは気のせいなのか。
誰か詳しく教えてくれ。

「そりゃどーも…それよりルーク。熱でもあるんじゃないのか。…寝ぼけてるとか」

今度は苦笑い。
人差し指を立てつつ本人に問うがその指は見事にへし折られた。
上体を起こそうとするとルークに阻まれ、押し戻される。

「おいおい…何の冗談だって」
「好きだから!…その、シたいんだよ」

だんだんと語尾に辿り着くまでに言葉は小さくなっていった。
何だって、と聞き返すと顔を真っ赤にしながらルークはヤケクソになったのか大声で言い直す。

「だからっお前と、シたいって言ったんだっつーの!」

はぁはぁ、と息を切らせつつ一気にルークは言いきった。
心成しか口調が少し前のルークに戻りつつあるような気がする。
シ、シたい…?言葉を理解しようと考えたが、思考はまさかなところに行き着いた。
確認するかの様に、怒鳴られる覚悟でもう一度ルークに聞き直す。

「シたい、ってお前…俺と?それってつまり…」

まさかな、と思っていたことが見事的中したらしい。
名残からかルークの顔は今まで見たことのない様に真っ赤になっていた。

「…意味、分かって言ってんのか」

今まで教えた事の無い知識である行為をしたい、と。
どこの誰に感化されたのか分からないが、どうやらルークは間違った知識を取り入れてしまったようだ。
男同士がする…って、アレをか。
いやいや、アレは通常、男女がするもんだろ。

「俺は、ガイとだからシたいと思ったんだ…駄目、か?」

顔との距離が近付き、ルークのおずおずとした瞳が俺を見つめている。
そんな子犬のような…しかも首を傾げてこっちを見るなって…!
むしろこちらが目線を反らせたいくらいに迫られ、お手上げ状態だ。
すると、ルークは最終手段とばかりに股間に手を出し、擦ってきた。

「っ…!」

他人に触れられるのは勿論始めてであり、身体が勝手に反応した。
萎えていた…萎えていた筈なのに揉まれ、弄られると不思議に感覚が麻痺してくるようで。

「きつくねーの?ガイのここ、固くなってきたけど」
「お前がこうして触ってこなければなぁ…!」

まるで一人で発情しているようで羞恥を刈り出される。
流石にまずい、と脳に危険信号が発信された。
止めようと差し出した腕は一つにまとめ、邪魔と言わんばかりにベッドの端に寄せられる。

「ガイが気持ち良くなるように俺、努力するから…」

流されるな…っ、こんなこと、ルークと…出来る、訳っ…。
葛藤の思考の渦の中、どこまで人間の身体というものは刺激に敏感なのだろうか。
覆い被さるルークは股間を弄るとゆっくりスパッツを下ろし始めた。
半勃ち状態の肉棒が顔を現す。

「これ、辛いだろうから剥くな…?」

普通に手を使えばいいものをルークは舌を差し出した。
先端の周りを一周、皮に沿うように舐めては押し広げていく。

「あ、ひっ…ぐぅ…」

根元は手で支えられ、時々その肉棒を触った手で髪を掻きあげるルークの姿に見惚れてしまう。
全くと言っていい程そんなことをしている場合では無いと言うのに。
剥き終わったてっぺんに現れた透明の液体の、先走りが垂れ落ちる異常な量に顔色を隠しきれない。

「…は、ガイのこれもうガチガチ」
「馬鹿やろ…言うなっ、ん…」

指の腹で先走りを広げるルークにより言葉に喘ぎ声が混ざる。
ヌル…と、先端ばかりが重点的に狙われた。
渇ききった頃にはルークの唾液がかけられ、今まで味わったことの無い感覚に息を呑んだ。

「…!ル、…クッ」

たかが唾液が亀頭を包み、揉まれているだけなのに…酔いしれる何かを感じる。
ついに新たな手の動きが加わると上下運動を繰り返す行動の快感に、呑んだ息を吐き出した。
回数が増えるごとに動きは激しさを増し、耐えきれなくなる。
硬度とその充血した姿を見れば一目瞭然だった。

「はや…ぃ、から…っ!すぐに…ッ」
「イきたかったら我慢するなよ」
「出るっ、…あっ〜〜…!」

まるで逆効果だったかのようにルークの手は止まろうとはしなかった。
むしろ動きを増したところを見るとそこまで本人は真剣なんだ、と思い知らせれたような気がする。

「ガイのザーメン、スゲーあったかい…」

手につき、放たれた液体を躊躇無く舐めるルークの姿はどうかしている。
達した脱力感でぼんやりとしてきた脳が視界をも曇らせた。
そうだこれは夢なんだ、と信じたかった。
ただ欲求不満の自分が勝手に見ている夢で、ルークがこんな行動をするとは思えないからこそ、ここは現実で無く夢の世界である…と。
しかし現実ばかりが目の前には広がる。

「ガイ…」

近づくルークにされるがまま、唇を重ねた。
一瞬、思考が低下している為に何が唇を塞いでいるのかも理解出来なかった。

「ふ、ぅ…?」

息がし辛く、舌を絡み取られたことによりだんだんと覚醒する。
口に広がった知ることの無い味に眉間は狭まった。
ようやく唇を解放された後に、どちらかも分からない唾液を呑み込んだ。

「…夢じゃ、ないのか。これ…」

今まで喋ったことのない発言に暫くルークは戸惑ったことだろう。
それだけでは終わらずに、この仕打ちと言うか己の様をどうしたら良いのか。
まさかまだまだ子供だ、と思っていたルークにこうも簡単にイかせれるなんて。
…いや、そもそもこのような行為に走ったことさえも驚きだと言うのに。

「夢なんかじゃない」

まとめられていた腕は自由に戻った…かと、思えば起き上がらせられ、引き寄せられた。
ルークの胸へと。
驚きのまま呆けた顔で肩に顎を乗せていた。

「夢なんかじゃ、ないから…。俺、ガイのこと好きだもん」
「ルーク…?」

夢…だと思いたかった。
そうだこれは夢だ、誰かが見せている悪夢であり、ここに居るルークは偽物で。
普段のルークはこんなことはしない、と自分に言い聞かせ、否定した。
けど…どうして。
好きだ、と言ってくれたルークを今度は夢だと思いたくないのは…何故。

「ガイが中々俺が言ってること、受け入れてくれないのが少し寂しくて。いつも俺を子供扱いするし…」

背中側から聞える声から何かが伝わってくる。
抑えられなかったルーク本人からのがむしゃらの気持ちと、後悔と詫びと。
こちらからの申し訳ない気持ちが入り混じる。

「だからってこれは無いだろ。この結果は…」
「…う、ああ…ごめんな、ガイ」

しかし、悪気がある訳でも無く、ふざけている行為でも無いことは分かった。
冗談かと思っていた告白は本物だった。

「けど、お前の気持ち…すぐに受け入れてあげられなかった俺にも非はある、よな…」

全て、最初から整理しよう。
押し倒された。
それもいきなり唐突に。
ルークの告白をきちんと受け入れずに話を進めようとしなかった。
事の重大さを理解しようとしなかった俺にルークは緊張の糸を切らしのである。
思いは爆走、見事に年下に力負け…。
あっさり組み敷かれ、ルークのされるがままに。

「お前…どう責任を取ってくれるんだ」
「…え?」
「やるんだろ。最後…まで…」

ルークが身体を引き離した為、暫く見つめ合う。
あまりにもきょとんとした顔をこちらに向けてくるものだから。
少しだけの羞恥心と妙な緊張感が身体を巡る。

「おま…あのなぁ!だからがっつくなって言ってるだろ」
「だって、すげー嬉しい…俺、」

起き上がった筈の上半身は倒され、また元通りになった。
しかも一緒にルークまで被さってくることは思いもよらない予想外である。

「ガイが好きだよ」

満面の、微笑みを目の前にした。
それはあまりにも歓喜が外に零れてみえるようで、冒頭で見せた真剣な眼差しとは程遠い。
喜怒哀楽がよく表情に出てきてくれるようになったな、と歓心をしていると条件反射とは言えないがつられて頬が緩んだ。
これは夢ではなく、現実のお話。





end.
2010/10/10

(あとがき)
ルクガイ…ルクガイ…本当は受けだと思わず、戸惑いまくるガイを書くはずだったのですが…。
勢いで書くと似たような文章になるし、最初の行為を濃く書くと途中でここまででいいや、ってなります。
ちょっとこの癖は直した方がいいな、と実感しました。
これ甘いのかな…個人的に気に入っているのはルークにご奉仕されているガイです(笑


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