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幼少期・復讐・LGL



「がぁー、い」

記憶をすっかり無くして保護され、戻ってきた少年は名前を呼ぶ。
言葉だってまだ覚えたばかりできちんとした発音を外れている。
音程が迷子になることもしばしば。
自分の足で歩き出すことさえ、ままならない。
時々俺がリードしてやる。
そうしないと、歩けもしない足で先を行く俺を追いかけようとするからだ。
何度そのことで執事のラムダスに頭ごなしに叱られたことか。
俺は自分が悪いとは微塵も思っていない。
勝手にくっついてくるコイツが、悪いんだ。


「あ〜ぅあ、ガ、イ」
「……」

何故か最初に覚えた言葉が俺の名前。
皮肉なものだな、と。
もっと他に覚えるものや覚えそうな単語があるだろうに。
よりによって…。






「ルークは貴公にとても良く懐いているようだな」
「…ああ、」

鬱陶しいぐらいにな。
知らず知らずの内に懐いてきた。

「いい機会だ、このまま利用するのも面白い…」
「随分腹黒いことを考えるじゃないか」
「当然のこと。己の願望を叶える為ならば如何なることでも、私は惜しみませんぞ」

そのしつこいぐらいの執着心、俺も見習いたいものだよ。
…さて、どうしてやろうか。
そうだよな、幼い頃から懐かせておくのも悪くない。
その方が後々扱いやすくなる。
俺だってファブレ家を許した訳ではないんだ。
許すはずがない。
憎たらしいのはお前の父親だが…同じような想いを公爵に味わらせてやる。
そうすれば、この想いが少しでも晴れるんじゃないかって、信じてる。






「ガイ!」

記憶をすっかり無くして早七年が経った少年は名前を呼ぶ。
言葉の読み書きはきちんと出来るようになった。
未だに不安な時があるが、日記を書けるようになるまで成長した。
俺の口調を真似してか貴族とはらしからぬ言葉遣い。
もう俺がリードしてやることは無くなった。
自分の足で、歩き出す。
七年前のお前がまるで嘘みたいだな。

「何ぼさっとしてんだよ、置いてくぞ!」
「ああ、悪い」

随分、懐いてくれたよ。
いや…懐かせた、のか。
昔の俺、今のルーク。
昔のルーク、今の俺。
変わったことはあるか?

「早くしろっつーの!」
「分かってるっつーの」
「あ、ばっ…ま、真似すんなよな!」



そうだな…強いて言うならばこの七年間で俺がお前に愛着を感じたことか。

けどな、
復讐心もちゃんと胸に残ってるぜ。





end.
2010/03/09

(あとがき)
LG?GL?LGL?GL←V?
何だかガイ様の想いを詰め込むあまり、CP表記さえ分からなくなりました。
けど1番近いのはGLかも、しれません…!(汗たらたら
ならばあえてLGLで、ここはガイ様受けサイトですよー^^;
多分制作時間は1時間を切っているので突発文です、とても。
途中ヴァン師匠を登場させましたが、最初はファブレ公爵の予定でした。
あまりにも話すことがないので、却下(笑


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あきゅろす。
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