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09'J誕





――誕生日、
このありふれた下らない毎日の中で、誰もが祝福をするだろう特別な日が…一番、嫌いだった

祝福する意味もない、どうして生まれてきてしまったのだろう
この聖なる星に生まれてくることが無ければ…誕生なんてしなければ良かったんだ
何故、“私”は生まれてきた?





「何だよ旦那、そんなことも分からないのか?」

何故、人は1つ年をとる度にそんなことを祝福する?
ただ年をとったことの為に――
老いは人を醜くさせる、老いは自分に対して恐怖を与える、老いは周りからの対応を鈍らせる
もちろん、自分自身の対応も

「そんな難しいことじゃないさ。考えてみろよ、俺達はこの間にも年をとっている」

けれども、先に生まれてきた物の運命なんて分かりきっている
後から生まれてきた物よりも先を逝く…、何か必然的な悲劇に鉢合わせない限りその運命は変わらない

「…どうしてそんな哀しそうな顔をするんだよ。いつものひねくれた笑顔はどうしたんだ?」

年をとるぐらいなら、生まれてこなければ良かったんだ
…出会わなければ、良かった
いつかは別れがやって来る
子供の頃に親しんだ、先生のように

「…ッ、ジェイド…?」

離れたく、なんかない
手離したくもない
ずっと側に居て欲しい
先に逝きたくなんか、ない

「苦しいって、ジェイド…」

あなたに出逢うまで毎日が下らない、と思っていた
ああ、また1つ年をとった
私が禁忌に手を染めてからどのぐらいの月日が経ったのだろうか…と、

「許して下さい…ガイ。私は、自らの手を血で染めすぎた…」

このまま犯してしまった禁忌を背負い、ただ1人生きていく運命なんだ
幸せに、なれるはずがない
自らの下らない好奇心の為に哀しみ、嘆いた人は一体今まで何人居ただろうか
例え許されることではない、と分かっていても

「…?何、馬鹿なこと言ってんだよ。こんな大事な日に」

許して下さい、ガイ
…いいえ、許して下さらなくて結構です
私は自分自身の幸せが…許せない

「いずれ私はあなたの前から消えることでしょう。それほどまで、自分が憎い」

この先、辛い未来が待っているのならば
私は自ら手を引きます
あなたの幸せを一生、願います
だから――…

「ふざけるなっ!!」
「ガ、イ…?」

どうして、どうしてそこまで声を張り上げてまで

「ジェイド…俺はな、人は年をとってこそ成長していく生き物だと思っている」

そんなことは分かっているつもりだった
ただ、その自分が生まれた意味が分からない

「望まれなくして生まれた生命なんて、無いんだよ。ジェイドが生まれて俺と出逢えたことは…1つの運命だ」

私は…嬉しかったのだろうか

「そんなに1人で悩むなよ。今日はジェイドにとって、特別な日じゃないか」

1人で全てを背負わないで
恐れず人と、運命と、過去と向き合おう
そうすればきっと、道は開ける
自分自身が生まれた意味が分かるから

「…ガイ、私はあなたに出逢えて幸せですよ」
「俺もだ、ジェイド」





誕生日というものがこんなにも素晴らしいと感じる日だったなんて
この星に生まれてこなければ、こうして2人出逢えることもなかった
愛し合えることも、出来なかった
例え過去に愚かな過ちを犯してしまったとしても
あなたが居れば――


「生まれてきてくれて、ありがとう」





Happy Birthday!

END.
09/11/22

◆あとがき◆
ジェイド誕生日おめでとう!^^
我がサイトが公開してからジェイドが2回目の誕生日が迎えることが出来ました。
またしても計画性のない突発小説で、申し訳ないです…反省はしています。
今回はいつもとは違った雰囲気の書き方をしてみました。
途中、ジェイドがガイ様を抱き締めたりしているのですが、分かりましたか…?
言葉だけで表現するのは難しいですね…!

誕生日の生まれた意味から何故か禁忌に発展してしまい、内容がごちゃごちゃになってしまいました。
言いたいことがよく分からなくなって、無駄に文章が長いです。
果たして読んでいる方は理解出来ましたでしょうかね…?^^;
ジェイドとガイ様が幸せなら、それで良いんです。←

最後まで読んで下さった方々いましたら、ありがとうございました!

村瀬りんく


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