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好きときめきとキス
#046
スズメが起床を促すように鳴く声が耳障りで不機嫌なまま真琴はゆっくりと体を起こした。
隣で眠る男は人が動く気配を感じ取ったものの、低く唸るとまた規則正しい寝息を漏らし始めた。
まだ肌寒い季節だというのに肌をさらして眠る龍雅の背中が真琴の視界に入る。
筋肉の筋が浮かぶ広い背中には爪後がところどころに残っているのを無視して、背骨部分から腰にかけての古傷を見つけた真琴はその傷をゆっくりと撫でた。
「・・・なんだ」
寝ていたはずの龍雅が声を掛けると、真琴の指先がはねた。
「てめ・・・寝てたんじゃなかったのかよ」
照れ隠しするように悪態をついた真琴は隠すように手を引こうとすれば簡単に捕まる。
「これはお前のせいじゃない」
真琴の考えを簡単に言い当てると、息を呑んだ口をふさぐ。
誰よりも強気で負けず嫌いな癖に触れただけで壊れてしまいそうな脆い所を隠す真琴を自分の腕の中に誘う。
大人しく龍雅に従う真琴に気をよくしたのか、また寝に入った彼は恋人のため息を子守唄にゆっくりと深い眠りについた。



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あきゅろす。
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