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未熟な恋心
#023 SHIN
「・・・つっ・・・」
10分ほど歩いて、『小夜』の近くまで行く。
足が勝手に向かっていた。
電柱の下でうずくまる。
我慢しきれなくなった俺の目じりには冷たい液体が滴り落ちる。

一人濡れながら俺は女々しいといわれたことなどを思い出し、悔しくて唇を噛んだ。
全部このままかき消してしまってくれればいいと思った。
俺が消えてしまうぐらいに綺麗になれるようにこの汚れた自分をどうにかしてほしかった。

涙のでない目には次々と雨が降り注ぎそれが強く振り出した頃。
「また、風邪引くぞ。」
顔を上げれば黒い傘がぼやけて見えた。
「そこまで馬鹿じゃないよ。」
そういいながら寒気が背中を走る。
「何があった?」
目の前に光る鋭い黒い目と目が合ったとたん、四肢の力が抜けた。

「慎・・・」
優しい声に瞼を閉じた。



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