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#005 TOSHI
頭を行き交う手に溢れそうになる心を曝け出したくなった。
見つからない様に気付かれない様にと隠していたモノは暖かい紅茶といつもなら払い除けている手が余りにも優しくて下唇をかみ締める。
「冬獅・・・唇が切れてしまう」
やんわりと立ち入った指は自分が傷つくのも厭わないと言ったように余りにも自然な動作をされて口を開く。
「・・・んで、」
思ったより声は震えて自分の物ではない様に感じる。
「喋らなくていいよ」
自身の声に困惑しているとヤツは正面に座っていたソファーから立ち上がり俺の座るソファーの前にしゃがみ込む。
覗き込むように顔を伺われてなんでとお前は俺を知っている?問いただそうとした音は雨で濡れたワイシャツにしみ込んだ。



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