#006 会長である水窪は会議室に入ると迷いもなくいつも自分が座る生徒会長の席へと座る。 追ってはいってきた二人を目線でそれぞれの場所に座るよう指示をするとめがねを押し上げた。 「用件はわかっているな」 水窪の言葉に硬い表情で彼らは頷く。 「生徒会の仕事を放棄してすみませんでした」 会計である田口があやまると、大下は不満そうに声を張る。 「白川副会長セフレばっかと遊んで仕事しないのはいいんっすか」 前から気に食わなかったと言わんばかりの態度に水窪の眉間には皺がよる。 そして手に持っていた書類を見せるように渡すと、受け取った大下は下唇をかんだ。 「それが証拠だ」 会計のサイン欄には田口の名前が達筆で何処か儚げに記されていて、書記の判が押されていた。 明らかに水窪とは違う筆跡のそれらをみて、解らないほどバカではないらしい二人は視線を揺らがせて顔を伏せる。 「俺達が馬鹿だったんです、すみません」 「すません」 二人して謝ると、水窪は二人の謝罪を制する。 「当分、お前たちには今まで以上に働いてもらう。白川にも謝っておけ」 続けて言いかけた言葉を飲み込むと、彼は用件は終わったとばかりに会議室を後にした。 ←→ [戻る] |