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#001 MAKOTO
カタカタとキーボードを打つ音が室内に響き渡る
そんな真夏の昼下がり

「なぁ真琴」
不意に声をかけられて、手を止めた。
「何?」
振り向くのも面倒で俺は短く返す
それがお気に召さないのか返事がないので今の作業をあきらめて椅子ごと半回転して流雅のほうにむいた
「どうしたわけ?」
いつもは眉間に皺を寄せて一日を過ごしているくせに今日はなぜかご機嫌で笑顔を振りまく恋人をみやる。
正直言ってかなり、怪しい
その上、うっとおしそうに振り向いても気にもしない。
「今日は俺の誕生日なの覚えてるか?」
「え?」
カレンダーを見れば7月31日に青いペンで丸が付いている。
最近仕事が忙しくて今日の日付を忘れていた俺は背中に冷や汗が流れるのを感じた。
「あはは・・・」
忘れていたなんて言えば何をされるなんか解っている。
それを隠すように笑って誤魔化してみたけどまったく意味がなかった
「やっぱり忘れてたな」
艶やかな笑みから妖艶な笑みに変わる
その瞬間俺はこの先自分の身に起こる事を察知して意識を飛ばしたくなった。



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あきゅろす。
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