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SS系
遠い古の男達へ 
まだ世界が今より小さかった頃、某国に、勇気ある男達が集められた。

この国を始め、大陸は危機に瀕していた。
大陸の資源が底をつき始めたのである。
このままでは、少ない資源を巡って戦争が起こる。
それどころか、全国民が死滅してしまう。
大陸で最も大きな某国の国王は、その危機を回避するため、新大陸の開拓に乗り出した。

「諸君。よくぞ集まってくれた。私は大変嬉しく思っている。諸君も知っていると思うが、この大陸は今、未曾有の危機を向かえている。その危機を回避するため、是非とも新大陸発見に全力をあげて貰いたい。」

「はっ!」

こうして男達は、広大な海に船を出した。

出航の前、男達は各々、愛する人に別れを告げた。
また戻って来れるかなど分からない。
しかし、どちらにしろ国が滅びれば同じ事。
行動に移せるか否かの問題に過ぎなかった。

男達は誰を見ても屈強な者ばかりだった。
屈強なだけではない。
精神力も強く、頭もキレた。
どこをとっても、これといった落ち目は無かった。

そんな男達は、長い長い夜の中、星達に照らされた乳白色の海を渡った。
誰もが恐怖に震え、孤独に耐え、涙をこらえた。

しかし、後ろを振り向く者は、誰一人としていなかった。




1年後、男達は故郷に帰還した。
「新世界発見」と言う朗報をもって。

しかし遅かった…! 大陸は既に変わり果てた姿となり、男達を出迎えた…。
戦争の跡もあった。

男達は決定的なミスを犯していた。
「1年」では遅すぎたのだ。

しかし、男達の心が沈む事は無かった。

逆に新しい世界に思いを馳せ、心逸らせていた。




ああ恋人よ。
そっちへ行くにはまだまだ先のようだ…。
せいぜい笑うと良いさ。
この浦島太郎を…。



  



あきゅろす。
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