7 私もあの子も幻影だ。 ごめんなさい ごめんなさい…! あなたを一人で残して行くべきではなかった。 寂しさを理解してあげるべきだった。 まさかあんなものを作り上げて育ててしまうなんて。私だけ逃げてごめんなさい。 彼の足元で号泣する私の側にアーリィが近付くと違うよママと静かに言った。 何の事かと涙の目で見上げる私の前で夫は消えた。 ショックだった。 「パパは5年前にここから出て行ったよ。友達に誘われて新しい仕事を始めるんだって…。パパもママも僕がつくったんだよ。僕だって寂しかったからね」 「でも、でもあなただって?!」 「そうだね、実体はないよ。僕もちゃんと成長したかったけど仕方ないよ。ママは僕を忘れて遠くへ行っちゃうし。でもママだって怖かったんだよね?僕を死なせた事隠してたんだもんね?ママを恨んでないよ。あれはママのせいだけどでもママのせいじゃないよ。気づかなかったんだよね?」 自分で自分を抱きしめる指先が震える。 [*前へ][次へ#] |