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まじまじと見ていると不意に顔を上げて言った。


「友達だと思っていたから、あんな子が友達で良かったって…年賀状にね、書いてあったじゃない?庭の水仙やカトレアが綺麗だって」

そんな事書いてあったっけ?ろくに見てなかったからな。それより息子宛てに来た年賀状勝手に読むなよ。

「あんたもお父さんも庭の花なんか興味ないじゃない?名前も知らないだろうし、どんなに世話をして咲かせても見てくれないしね。学校帰りに見てくれてたのかな?綺麗だって書き添えてくれたのが本当に嬉しかったの。優しい子だなって。こんな友達がいてくれて良かったって…どうしたの?」


僕の目にじわりと涙が浮かんでいた。生憎それはひとすじに静かに流れるような美しいものじゃなく、次の瞬間溢れ出してぼたぼたと皿の上に落ちた。


お母さんはそれまで平然としていた僕がいきなり泣き出したものだから、すごく驚いておろおろしていた。“何なの?”と聞かれても“何でもない、何でもない!”と首を振っていたが、たまらずテーブルに突っ伏した。





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