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7月
HN さるすべり『星空』
【2009/07/07 16:41】
【2009/07/08 19:04】

久しぶりに二人で休みの夕暮れ時

「暑いし暇だね。どっか行きたいね。」

ポツリと零した呟きが、気がつくともう車に乗って一時間。

「どこ行くのよ?」

「いいとこ」

そんな調子でまだまだ走る。山なのは間違い無いが、こんな所にいい所って何だろう?

「よし、じゃ降りるよ」路肩に車を停めても、特に何も変わったところはない。そのままスタスタと懐中電灯片手に林の中に入って行ってしまうので、慌てて後を追う。

「ねえちょっと、何があるって言うの?」

「うん、もうすぐだから。ほら、聞こえて来た」

確かに水の流れる音はしているけれども、川なんて別にどうってことないじゃない。

「橋があるから、気を付けて」

そう言って、手を引かれながら真ん中あたりで懐中電灯の明かりが消された。

「うわ…」

慣れない道で、転ばぬように今まで下を向いていたから気付かなかった。両岸に乱舞する、仄かな緑色の光たち。

「凄い…」

「上も見てごらん」

言われて視線を上げると河幅に切り取られた夜空にちりばめられた、星、星、星。

「凄い…!」

手を伸ばすと届きそうな生命の瞬きと、何万年前に発せられたか判らない輝き。幻想的な瞬きがふわりと舞い上がっては、目の前で交錯し、つられて目を上げるとそこにも光が。

「…時間を、忘れそうになるね…」

「気に入った?」

「うん」

儚くも美しい、祭りのような生命の舞い。

それを茫然と見入っている私を、悠久の時間が静かに見下ろしている。



名残は尽きないけれども私は私の時を刻むため、静かな祭りに別れを告げて、日常に戻ろう。



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