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第六章
怒りの矛先




どこか気まずそうな顔をするシリウスだが、何も弁解してこないためにカノンは眉間に皺を寄せた。


「不愉快です。先輩の趣味にどうこう言える筋合いではないですが、こういうことをするんでしたら他の人を当たって下さい」


そう言ってカノンは踵を返して足早にシリウスから離れた。シリウスは先程の自分の行動があまり理解できていなかった。

ただ去ろうとしたカノンをどうにか止めたかっただけなのだが、体が無意識に動いていた。


(失敗した…)


本当は何か話をしたかったのだが、本人を目の前にすると何を言っていいものかわからなくなった。ただでさえ最初の出会いが最悪だったのも災いしていた。

しかもまさか今の様子をあの連中に見られているとは思ってもいなかった。










至極腹が立った。見直してきた先輩だから、すっかり油断していた。あんなことを他人にされたのは初めてだった。長年、暮らしてきたレックスとは違う体温がカノンの心を掻きまわす。あまりにも急すぎる変化についていけない状態だった。


(あの人の行動はわからないことだらけです…)


カノンはこのまま寮に戻ると他の人間に当たり散らしそうになると判断し、どこか静かな誰もいない場所に行こうと歩みを進めた。


(外の方がいいのかな…。久しぶりにヴァルガレイスで剣の稽古とかしとかないと体が鈍るよね)


胸元で揺れるヴァルガレイスを指で弄りながら歩いていると目の前から見慣れた人が歩いてきた。









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あきゅろす。
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