第六章
友達と先輩
「この後はどうする?」
「私は明日から始まる授業の準備をするから自室に戻ろうと考えているけど」
「つまんねぇな。久しぶりの学校なんだからもっと遊ぼうぜ」
「それはいいアイディアだね」
「フェイはわかる奴で助かるぜ」
ラトは隣に座っているラトの肩を抱きついた。これにはアデルが冷めた目で見ていた。
「少しはカノンを見習うとかしたらどうなのよ」
小声で言ったためかアデルの隣に座るカノンにしかその声は聞こえなかった。カノンは苦笑いを浮かべるしかできなかった。
(本当はラトが構ってくれなくて寂しいくせに…)
まだ素直に慣れてないんだなということが今の言動からわかった。いつも変わらない子の風景が今のカノンにとっては嬉しくてたまらなかった。
食事を終えたので先に寮に戻ろうと大広間を出た所でカノンは引き止められた。
「よぉ…」
「ブラック先輩?」
カノンが出てくるのを待っていてくれたようでシリウスは壁に寄り掛かった状態だった。しかし、カノンは彼が自分を引き止める原因がわらからず首を傾げた。その仕草によってカノンの胸元にあるヴァルガレイスが揺れた。そこに視線がいったのかシリウスの目が軽く開かれた。
「お前、それつけてくれているのか」
「?えぇ。大切なものですから」
恥ずかしげもなくそう言ったので、それをあげた側のシリウスは赤面するしかなかったが、その様子をカノンに見られたくはないので顔を反らした。
「そっか」
シリウスが何をしたいのかカノンはいまいち理解できなかったため首を傾げるしかなかった。
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