第五章
対応
少年の名前を聞いた瞬間カノンの表情は固まった。そして、慌てたように頭を下げた。
「申し訳ありません。知らなかったこととはいえ大変失礼な真似をしました」
「いいですよ。それよりも貴女のお名前を聞かせてもらえますか」
「カノン・オールディントンです」
「あぁ、貴女が」
レギュラスがカノンの顔を見て妙に納得した様子だったので、カノンは苦笑いを浮かべた。
「そんなに私って有名なんでしょうか?」
「そうですね。僕達の間ではかなり噂が広まっているのは事実ですね。あのイーグさんが養女にした方はとても可愛らしいと」
「えと、失礼ですけどか、可愛いとかそういう言葉は社交辞令ですよね?」
あまりにもこう可愛いと言われ続けるとカノンは居た堪れなくなった。赤くなりそうな顔を少し冷たくなった手で冷やす。しかし、レギュラスは少し目を見開いた。
「社交辞令とかじゃなくて事実ですよ、カノンさん」
「私は本当に可愛いとかの言葉は似合いませんよ。と言いますか、私よりもブラックさんの方が合ってます」
顔を真っ赤にしてそう言うカノンにレギュラスは笑っていた。
「無理に敬語とか使わなくても大丈夫ですよ。後、ファミリーネームで呼ばれると父上を呼んでいるみたいで反応しづらいですね」
カノンはレギュラスにそう言われたので一つ咳払いをして『じゃあお言葉に甘えます』と言った。
「レギュラス君は私なんかよりもよっぽど綺麗なんだからそんなこと言わないでね」
かなり砕けた言い方に最初は面喰らったレギュラスだがすぐにまた微笑んだ。
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