第五章
純血主義者
オリオンに自己紹介が終わると早速カノンは他の貴族に囲まれた。これにはカノンはたじたじになるしかなかった。イーグの方に視線を向けると彼もどうやら掴まって逃げ出せない状況だった。仕方なく、カノンは一段落するまで我慢することを決心した。
話しかけられてわかったのが貴族は本当に噂話が好きだということだった。自分のことがここまで広がっていることに驚いたが、それよりも彼らがイーグに対して抱いているものに怒りを感じた。彼は表面上は純血主義を掲げているが、本当は魔法が優れていれば血筋なんてものはどうでもいいというのが彼の意見であり、それを聞いたカノンも賛同した。しかし、ここにいる人々は全く違った。カノンの前で話すないようはほとんど自分達が優れていることを自慢するばかりで、話を聞いていてカノンの不快はさらにひどいものになっていった。
ようやく一段落したためにカノンは適当に飲み物を持つとテラスに出た。
「ふぅ…」
溜息を一つ吐きだすとそれは白く濁った。中の気温と外の気温の差が大きすぎるのも問題ではあったが、この冷たさがカノンの頭を少し冷静にさせてくれた。
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