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第五章
ブラック邸



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ブラック家本家はイーグの家よりも広く、そしてホグワーツ並みに綺麗に飾り付けされているのでこれにはカノンは驚いていた。イーグの後ろを淑やかについて行くと大広間に出た。そこには綺麗に着飾っている貴夫人やカノンと同じか少し年上の子もいた。もちろん比率的には男が多かった。イーグが大広間に入ったのに気付いた人々が一斉に視線を集中させた。その中で黒い髪の綺麗な顔立ちの男性が近付いてきた。


「待っていたよ、イグネイシャス」

「お招きいただき感謝いたしますMr.ブラック」

「おや、今までみたいに先輩とは呼んでくれないのかね」

「一応、私もいい大人なんで」


愛想笑いを浮かべるイーグを初めてカノンは見たが、すぐ側にブラック家当主がいるために笑顔を崩すことができない。彼の視線がカノンを見た。


「こちらが例の…」

「カノン・オールディントンと申します」


カノンは来ているドレスの裾を両手で広げ右足を一歩下げて恭しく頭を垂れた。その仕草は優雅なもので即席で覚えたものだと誰も思わないだろう。しかもここで本名を明かさなかったのは自分がホグワーツにいる時と性別が違うことを誤魔化すためでもある。


「私はブラック家当主のオリオン・ブラックだ。可愛いレディ」


社交辞令を述べるオリオンにカノンはただ微笑むばかりだった。


(明日は顔が筋肉痛で決定かな…)


心の中でそう思っていたのは絶対言えない。









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