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第四章
彼なりの優しさ

お金が足りないことに肩を落とすと思わぬところから助け船が出た。


「じゃあ、その値段で売ってくれ」

「!?」


カノンの隣でペンダントの金額をシリウスは店主に渡すと、店主は品物を袋に包み始めた。


「あ、あのブラック先輩?」


店主から品物を受け取るとシリウスは空かさずそれをカノンに手渡した。


「ほらよ」

「あ、お金払います。足りない分は後でちゃんと払いますので」

「別にいい…。この間の詫びとクリスマスプレゼントだ」


戸惑うカノンにシリウスはペンダントを押し付けた。カノンはようやく素直に受け取ると花が咲くように笑顔を浮かべた。


「ありがとうございます、ブラック先輩」

「…っ。あぁ」

「先輩、この後お時間はありますか?」

「ん?一応まだあるけど」

「じゃあ、少しお付き合い願います」


そう言ってカノンはシリウスの手を取った。それにシリウスは顔を赤く染めたが、当のカノンは全く恥じらいもせず、凄く嬉しそうな顔をしていた。カノンの顔を見るとシリウスの恥じらいも毒気を抜かれてしまった。


「そういえば、先輩は何を買いに来たんですか?」

「俺はジェームズ達のプレゼントを買いに来たんだ」

「そうなんですか。…あ、後先輩はどういう物が好きですか?」

「?悪戯道具とかか?」

「他にはないんですか?」

「後は今は服があんまねぇな」


シリウスの言葉を聞くとカノンは辺りをキョロキョロ見回して服屋を探した。するとちょうどよくシリウスが好きそうな店があったため、カノンはまたシリウスの手を引き、そこへと一直線に向かった。シリウスはされるがままでカノンについて行った。




周囲の視線が自分達に注がれていることに二人は気付かなかった。黒髪に綺麗な顔立ちの少年の手を引く少女が少年に負けず劣らずの綺麗な容貌だったために…。








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あきゅろす。
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