第三章
目覚めた後
勢いよく置き上がるとすぐに誰かに抱きしめられた。
「大丈夫だ、カノン…」
頭を優しく撫でられ、顔を上げるとレックスが微笑んでいた。それに安心したのかカノンの瞳からは涙が止めどなく溢れていた。カノンは自らの頭をレックスの胸に押し付けると声を押し殺して泣き続けた。レックスはカノンが落ち着くまで頭を撫で続けた。
ダンブルドアは目の前の光景を悲しそうな目で見ていた。
「泣いている所、すまんのう」
それにカノンは肩をびくりと震わせた。そして泣き腫らした目でダンブルドアに向き直った。
「すみません。秘密にしなければならないことを私の失態のせいで…。ご迷惑をおかけしました。もうこれ以上ここにはいられません」
事務的なことを淡々と言うカノンにダンブルドアは近寄ってレックスがしてくれたように頭を撫でた。
「大丈夫じゃよ。ノエルが知らせてくれた時、すぐにシリウスやラト達に何があったと聞いても皆何もなかったと口を揃えるばかりじゃよ」
「えっ?」
「シリウスもすぐに自分が校内で、無断で魔法を使ってしまったから減点をしてくれと申告もしたからのう」
カノンが顔を上げるとダンブルドアは優しく笑っているだけだった。
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