第三章
バレてしまった
今度は窓の外から現れた白い梟がレックスの肩に止まった。
「ノエル。悪いんだが、このことをアルバス・ダンブルドアに報告しておいてくれ」
「レックスが行けば?私がカノンを運ぶ」
「運ぶって、お前にそれは無理だろう」
「できるもん!」
梟が喋っていることにも驚いたが、それが幼女の姿になったことにもさらに驚いた。ノエルはレックスの腰辺りまでしかない身長を一生懸命伸ばしてカノンを抱き上げようとするが、レックスに軽く躱されてしまった。
「早く行って来い。俺よりも鳥の方のお前が速いんだよ」
「むぅ…。終わったら真っ先に行くからね!」
「はいはい」
ノエルがまた鳥の姿に戻るとレックスは保健室の方へと向かおうとした。しかし、我に返ったアデルがレックスに近寄った。
「カノンは大丈夫なの!?」
アデルがカノンの顔を覗き込むと、少年だった面立ちがいつの間にか元の少女の顔になっていた。それに驚いているとレックスが補足した。
「魔力を暴走しかけたんだ。変身魔法が解けるのは当然のことだ」
アデルの傍からラトが覗き込んだ。そして、アデル以上に驚いていた。
「カノンって女だったのかよ!?」
「声が大きい!」
アデルに口を塞がれラトは何も言えなくなってしまった。声を聞く限りだとそれはシリウスまでに知られてしまった。
「おい、そこの坊主。次はないと思え」
背を向けながら睨んでくるレックスにシリウスはただ頷くしかできなかった。
レックスの腕の中でカノンは静かに涙を流していた。
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