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第三章
暴走


「カノン…」


ラトがカノンに近寄ろうとしたが、カノンの周りが異常なくらい急激に温度が下がっていき、足元には氷が形成され始めていた。ラトだけでなくアデルまで近づけなかった。

カノンは目の前のシリウスに人差し指を向ける。すると今まで前にあった魔法陣が今度はカノンの足元に出た。カノンの周りに無数の氷の刃が現れ始めた。矛先は全てシリウスに向けられていた。


今まで見たことのないカノンにラト達は動けず、的になっているシリウスも青い顔をしていた。


「プリズンランサー」


カノンが一旦腕を引き、それをシリウスに再度向けようとすると、背後から腕を掴まれた。


「止めろ!カノン!!」


急に腕を掴まれたため先程まで空中に浮いていた氷の刃は消えてしまった。


「レッ…ク、ス…」


見慣れた顔の青年が必死に自分を止めるのを見た後、カノンの意識は白い闇に覆われた。レックスはカノンの体を抱き止めるとシリウスを睨んだ。


「ここまでカノンを追い詰めたのはお前か?」


静かな怒気にシリウスは怯んだ。レックスはカノンを横抱きにするとアデル達に向き直った。


「怖い思いをさせてすまん」


レックスが穏やかにそう言ったのでアデルとラトは少し肩から力が抜けた。









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