第三章
友として
「カノンを泣かせるために私を利用するなら、私はどんな手を使ってもあなたを止めます」
「おぉ、怖い怖い」
さしてそうでもないのにシリウスは両手を上げた。その後すぐにアデルとシリウスの間に風が流れた。
「アデルから離れて下さい」
いつの間にかカノンがアデルの前に立っていた。これには二人は驚くばかりだった。カノンの手には杖がしっかり握られている。
「お前、いつの間に…」
シリウスの背後にはカノンにおいて行かれたラトが肩で息をしていた。
「カノン、速すぎ…」
「ラト!」
アデルが倒れそうになるラトを支えた。すると、シリウスがアデルとラトの関係に何か感づいた様子だった。
「へぇ…。彼女のナイトは向こうの奴か」
「二人には手を出すな」
「はいはい。わかったから杖をしまえよ」
降参だというシリウスにカノンは警戒を緩めなかったが杖をしまった。
「アデル!」
二人の元に掛け出したカノンの背後にシリウスは懐から取り出した杖で呪文を放った。
「ステューピファイ」
しかし、カノンが咄嗟に空色の魔法陣を展開してその呪文を防いだ。これにはシリウスだけでなく、ラト達も驚いていた。見たこともない魔法陣がカノンとシリウスの間にある。カノンは肩を震わせていた。
「…私だけだったら別に何をされても構わない。でも、私の大事な友人達を傷つけようとするのなら許さない」
カノンの紫苑色の瞳が怒りに燃えていた。そして、カノンの周囲から空色のオーラのようなものが出ていた。
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