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第三章
嫌な予感と探り合い


「その先輩の名前わかる?」

「うん。確か、ブラック先輩だった気がする」

「「!?」」


その言葉を聞くとカノンの体は無意識に走り出した。

「カノン!?」


後ろからラトの声が聞こえたが、今のカノンを制止するには至らなかった。







―――――――――――




アデルは少しイラついた顔をして廊下を歩いていた。


「あのブラック先輩…」

「ん?」


アデルの背後を一定距離で付いて来るシリウスは彼女の機嫌が悪い事すら気付いていなかった。


「どうして私に付き纏うんですか?」

「んなもん、好きだからに決まってんだろ?」

「心にもないことを言わないで下さい」

「本当のことなのに」


アデルの綺麗な金色の髪に軽く口づけするが、それはすぐにシリウスの手から離れた。


「勝気なお姫様だな」

「そういう先輩は浮名通りの方ですね」


互いに腹の探り合いをして相手の本心を見抜こうとするが、どちらもわからないことだらけだった。

そこでアデルは自分が考えていることを素直に口に出してみることにした。


「もしかして、先輩が私にちょっかいを出すのはカノンを泣かせるためですか?」


これにはシリウスの瞳が軽く見開かれた。それによりアデルは確信を持てた。先程まで見せていた他所行きの顔ではなく、鋭利な瞳を向ける。









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あきゅろす。
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