第三章
男三人
カノンはどっと疲れた様子で寮に戻っていた。談話室のソファーに体を預けるとそのまま寝てしまいそうな勢いだった。
「どうしたんだ?」
カノンの口に買い溜めした百味ビーンズを一粒入れたラトが声を掛けて来た。
「良かった。無難にピーチだった」
「何だと?俺、ゲロ味だぞ」
ラトの言葉にカノンは若干引いた。
「まぁ、それは置いといて。で、何かあったのか?」
「あぁ、うん。なんか図書室にいたら、グリフィンドールの女の子が勉強でわからない所があって聞かれたんだ。それで参考図書を教えたら、それまで話しかけても来なかった人達が一気にどっと押し寄せて来て質問責めにあったんだ…」
げっそりとした様子にラトは苦笑してお疲れさんと声を掛けてくれた。
「だから言ったろ?カノンはもてるって」
「私は別にもてないと思うんだけどな…」
こんな押し問答が毎日続くと辟易してくる。フェイがそんなカノン達を他所に窓の外を眺めていた。
「そういえば、最近グリフィンドールの先輩がアデルに付き纏っているって知ってた?」
「「はい?」」
何気なく言ったフェイの言葉に二人は呆然となった。
「えっと、カラムじゃなくて?」
「カラムは最近ハッフルパフで可愛い子見つけたらしいよ」
だからあんまり見かけないでしょと付け加えたのでカノンは妙に納得した。しかし、ラトは違った。
「なんであんなガサツな女に先輩が付き纏うんだよ?普通逆じゃね?」
不機嫌に言うラトにカノンとフェイは苦笑した。
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