第三章
普段と変わらない日々
入学してから3ヶ月が経過した。
ホグワーツ魔法魔術学校は入学した時とは違い、周囲が雪化粧していた。
初めて受ける授業はどれも楽しいものばかりだった。自分がいた世界ミッドチルダにはない知識ばかりに触れることにどれも新鮮に感じた。少しわからないことがあれば、ラトやフェイ、アデルがわかりやすく説明してくれた。
おかげで理解することの喜びを感じたカノンはほとんど図書室に入り浸りになっていた。それは他のレイブンクローの生徒も同様だった。図書室にはレイブンクローを象徴する青い色のネクタイを巻いた生徒でいっぱいだった。カノンは一人で何冊かの本を持って自学していた。周りにはいつも一緒のラト達がいないため、余計に周囲に目に晒されているような気がした。
(居心地が悪い…)
とりあえず、皆本に集中しろよということは口には出せないが、心の中で叫んでいた。
少し険しい顔つきになっていたが、急に話しかけられたため、愛想のいい笑顔をカノンは作った。
「ルヴェルディ君。少し教えてもらいたいことがあるんだけどいいかな?」
ネクタイを見るとグリフィンドールの女子生徒だった。
「勉強のことですか?」
「うん」
彼女が見せて来たのはこの間の薬草学で習った部分だった。カノンは彼女が丸を付けている部分を見ると、鞄から出したメモ用紙に本の名前を書き始めた。それを彼女に渡した。
「この本に確か要点が載ってたはずだから借りてくるといいよ。どうしてもわからなかったらまた私に聞きに来てくれても大丈夫だから」
にっこりと笑うとその女生徒は頬を赤く染めてありがとうと言った。その様子を見た他の生徒達がカノンの周りに来て、わからない所を聞き始めた。おかげでカノンは自分のことに手を付けられなくなった。
(…困った)
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