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第二章
組分け


大広間の扉が開かれ、カノンを含めた新入生がどんどん中へと入って行く。

綺麗に装飾された広間に全員が圧倒され、言葉を失っていた。そんな新入生を在校生がじろじろと見ていた。カノンはその視線に居た堪れなくなって内装に向けていた瞳を下に向けた。ラトやアデルはそんなカノンに気づかず、始めて見る光景に瞳を輝かせていた。


(ノエルやレックスがいればまだ我慢できるのに…)


溜息を吐いていると今度は周囲の空気がガラリと変わった。先程まで興奮気味だった生徒達が皆、緊張した面持ちになっていた。それにカノンは不思議そうな顔をした。


「今から何をやるの?」

「組み分けよ。カノンはちゃんと話聞いてたの?」

「それなりに?」


カノンの言葉にアデルは憤慨していたが、ラトは声もなく爆笑していた。









どんどん名前が読み上げられ、前へと出る新入生の顔は、全員が不安を露わにしているようだった。


「次、ラティマー・ブロウニング」

「げっ…。とうとう呼ばれた」


行ってくるなとカノンとアデルにラトはにこやかに言って前へ出た。そこにある椅子に座ると古びた帽子を被せられていた。そして、その帽子が高々と声を張り上げる。


「レイブンクロー!」

「おしっ!」


ラトはガッツポーズを取るとカノン達に親指を立てレイブンクローの席に座る。すると、ラトはすぐに先輩に頭を撫でられたり、握手をしたりしていた。


「打解けるの速いなぁ」


カノンは微笑ましくその様子を見ていた。アデルはアデルでラトがレイブンクローに行ってしまったことに少なからず不安を感じているようだった。


「どうしよう…。ラトと違う寮だったら」

「大丈夫だって」


落ち込みそうになっているアデルにカノンは優しく声を掛ける。それと同時に今度はアデルの名前が呼ばれた。


「アデル・ラトクリフ。前へ来なさい」

「はい」


静々と前へ出るアデルにカノンは頑張れと小さく声を掛けた。


「レイブンクロー!」


帽子が頭に被られる前にそう告げられていた。アデルは嬉しそうにラトの所に行ったが、ラトが絡んでくるとそっぽを向いていた。


(素直じゃないんだから)


カノンは一人でクスクス笑っていた。







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