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第二章
新入生としての

着いた時にはすっかり夜になっていた。それでも、目の前に光景には惹かれずにはいられなかった。
古城ともいえるホグワーツ魔法魔術学校。城の至る所で温かなオレンジ色の光が零れている。

一応、怪我がある程度治るまで滞在していた場所なのだが、改めてじっくり見るとこうも綺麗なものだったのかと痛感した。また、どうしてあの時もっといろいろ見て回るべきだったとも後悔した。





中に入るとやはり人がいる時といない時とでは見る物が違うのだというのもわからされた。引導する先生の後に続く生徒を後ろの方からカノンはじっと見ていた。


(何か教導隊に入ったばかりの頃を思い出すなぁ…)


あの時もこんな風に説明を受けるのに集団で行動していたような気がした。にこやかに目の前に映る光景を見ていると周りの生徒が顔を赤くしてちらちらとこちらを見ていた。それにカノンは苦笑した。



アデル達が言っていたようにどうやらカノンは自分の容姿がそれなりに良いことを痛感した。そんなカノンを庇うようにアデルとラトがカノンの前に出た。
まぁ、二人にしてみたら早く大広間に行って御馳走にでもありつきたいと思っているのが関の山だろうが…。
ようやく大広間の前の扉に着くと引率の先生が扉を開ける前に組み分け帽子の説明をし始めた。カノンはそれをどうでもいいような感じで聞き流していた。そんなカノンとは対照的にラトは興奮したように話しかけてくる。


「同じ寮になれるといいな」

「そうだね」


小声でそう言っていたのにも拘らず、先頭にいた先生はカノン達をじろりと睨んだ。


(地獄耳…)

「地獄耳だな」


カノンが思ったことをそのまま言葉にしたラトに思わずカノンは噴き出しそうになったが、何とか抑えた。


「あんた達煩いわよ」


小声でアデルが叱ってきたことにカノンとラトは互いの顔を見合せて笑いあった。







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あきゅろす。
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