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第一章
はじめまして

少年の向かいの席には勝気そうな感じの女の子が微笑んでいた。


「私達も今年の新入生なの。私はアデル・ラトクリフよ。で、あなたを無理やり引っ張ったのが馬鹿ラトって言うの」


少年に対する態度があからさまに悪いのにカノンはただ驚くばかりだった。それとは反対に少年はかなり怒ったようで反論していたがアデルという少女の一睨みであっという間に黙ってしまった。


「…俺の名前はラティマー・ブロウニングっていうんだ。長いからラトでいいぜ」


カノンに向き直ると少し落ち込んだ様子でラトはそう言った。

その様子に先程まで憤慨していた自分が馬鹿馬鹿しく思えてカノンは微笑んだ。カノンの笑顔を見た二人は急に頬を赤く染め始めた。
カノンは二人が何故赤くなったのかわからなかったが、自分の名前を言った。


「私はカノン・ルヴェルディと言います」


よろしくと頭を下げると二人がつられて下げていた。


「カノンってけっこうもてそうな感じがするな」

「しかも言葉遣いまで丁寧だし…」


はぁとうっとりしたような感じの二人に益々カノンは首を傾げるばかりだった。


「もてるって…。そんなこと今まで一度もなかったよ?」


カノンの発言に二人は驚愕したという表情を浮かべるばかりだった。


「嘘だろ?絶対ありえねぇ」

「本当だよ。私なんかよりももっと綺麗な子とかいっぱいいたしね」


そう言って思い出されたのが、最後に別れたばかりのなのは達の姿だったためカノンは表情を曇らせた。それに気付いたのはアデルだけだった。







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