第一章
人目を気にして下さい
次の日結局、カノン達は汽車が発車するぎりぎりの時間にホームに着いてしまった。それもこれも夕食時にもレックスとノエルの喧嘩が絶え間なく、それを収集するにもイーグは全く協力してくれずカノン一人で何とかするしかなかった。おかげで眠るのが深夜になってしまい、寝坊してしまった。
「忘れ物はないかい?」
「一応、昨日確認しながら準備したんでないとは思います」
「忘れ物があったら、ノエルに手紙でも届けさせて」
イーグがそう言うと籠の中のノエルが不服そうにホゥと鳴いた。
―誰が好き好んでお前の所に行くか―
思念通話でノエルがそう言っていたのはイーグには内緒だ。使い魔であるため、人語は話せるのだが、この世界にはそういう動物はいないため目立った行動ができなかった。
ホグワーツへの汽車が出発の汽笛を鳴らす。それによりカノンは慌てて乗った。イーグはカノンが無事に乗る様子をただじっと見ていた。
「気を付けるんだよ、カノン」
「貴方以外の何に気を付けろというのですか?」
「悪い男に引っ掛かるんじゃないんだよ」
「私の今の性別思い出して下さい…」
周囲から奇異の目で見られていることを自覚していないのかイーグはまだ続ける。その様子にカノンは半眼状態で冷めた態度で見ていた。
まだたった数日しか一緒にいないのにカノンの中ではイーグの大体の性格が理解できた。
(ノエルの言う通り変態だ…)
扉が閉まる時まで延々と喋り続けるイーグが周りから引かれている様子を視界の端に入れてから、カノンは汽車の内部に入って行き、どこか開いているコンパートメントがないか探し始めた。
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