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第一章
世話になる人


「君はまだ幼い身ながらも辛い経験をしてきたんだね」


それが、彼が初めて言った言葉だった。カノンは訝しげにイグネイシャスを見た。


「貴方に私の何がわかるんですか?」

(後輩一人も満足に助けられなかった私の何が…)


カノンが苦渋に顔を歪ませているとイグネイシャスは苦笑して見せた。


「ゴメン。そういうことを言ったつもりじゃないんだ。ただ今日から家族になるんだから、私の前では甘えてくれても構わないと言いたかったんだ」

「か…ぞ、く?」


突拍子もない言葉にカノンは戸惑ってしまった。だが、すぐにイグネイシャスを睨みつけた。


「申し訳ありませんが、オールディントンさん…」

「イーグでいいよ」

「…イーグさん。私は貴方のお世話になる訳にはいきません。まして、家族なんて」


カノンの冷たい対応にも負けじとイーグは食い下がる。


「でも、君達には元の世界に帰るまでに住む居場所が必要だろう?」

「!?」


なんでそのことを知っているのかという疑問をぶつけそうになったが、すぐ傍にいるダンブルドアが教えたのだろうと思って彼を睨みつけた。ダンブルドアはカノンの怒った顔にも動じずに笑顔を張り付けたままだった。


(油断ならない人…)


カノンはもう自分が折れるしかないと思い、よろしくお願いしますとイーグに頭を下げた。






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あきゅろす。
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