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第一章
不安
ダンブルドアの話ではここはカノン達がいた世界とは違い、魔法は存在しているがデバイス等の機械は存在していない世界であるということ。また、カノン達がいる現在地は見習いの魔法使い達が通うホグワーツ魔法魔術学校であるということ。また今は入学式前であるため人はほとんどいないということ。そして、この次元がどの次元にあるのかも不明であるため時空管理局との連絡が取れない。つまり、帰れないということである。


「ヴァルガレイスもいないし、私どうしたらいいんだろう」


あの時の爆発のせいでこの世界に飛ばされてしまったということはきっとヴァルガレイスもこの世界のどこかにあるということはわかるがそれがどこなのかがわからない。
落ち込むカノンのもとにダンブルドアともう一人見知らぬ人物が見舞いにやって来た。ダンブルドアとは違い、まだ三十代前半に見えるが、顔に浮かべる笑顔はダンブルドア同様に懐が広いことが窺える。カノンはその人物に警戒するとダンブルドアが笑った。


「彼はこれから君達がお世話になるイグネイシャス・オールディントンじゃ」

「…?」


怪訝そうにダンブルドアの言葉をカノンは聞いていた。


「お世話になるってどういうことですか?」

「言葉の意味そのままじゃよ」


勝手に話を進めてもらっては困るというのが、カノンが思ったことだった。それが表情に出ているのかダンブルドアの傍にいたイグネイシャスが苦笑していた。


「ところでレックスの姿が見当たらんが、どこに行ったんじゃ?まだ傷も癒えとらんじゃろ?」


カノンは窓の外を指した。ダンブルドア達も視線をそちらに移すと外で気持ち良く日向ぼっこをしているレックスが映った。日の光を浴びている所為で白銀の毛並みがキラキラと光っている。見るからに元気そうで昨日までつけていた包帯も見当たらない。


「彼は私の使い魔だから。主の私が魔力を与えると傷はすぐに癒えるわ」

「と、すると死ぬこともないということかの?」


ダンブルドアがそう聞くとカノンは静かに首を横に振った。


「この世界で魔法が何でも叶えられるものじゃないのと同じように私達の世界でも同じこと。命は一度失われたら取り返せるものではないわ」


幼い身ながらもカノンはどこか達観したような節を見せる。







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