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第一章
気付かなかった

彼女は勘がいいのかすぐにその話題はカノンにとって何か辛いことを思い出させたと気付き、話題を変えた。


「それにしても、さっきは災難だったわね」


ラトもそれに便乗した。


「まさかスネイプ先輩にぶつかるとはカノンもついてねぇよな」

「あの人先輩なんだ」

「そうよ。ラトのお姉さんから聞いたには魔法薬学とかは天才的なんだけど、闇の魔術に傾倒している節があるから、けっこう周りから浮いてるらしいんだって」

「なんでお前が姉貴からそんな情報まで聞いてんだよ!?弟の俺にでさえそんなこと言ってねぇんだぞ!」


カノンはアデルが言ったことに感心したが、後に言ったラトの言葉には驚くしかできなかった。アデルはアデルで飄々とした感じで、ラトにあんたより仲良いものと言っていた。


「後、これも聞いた話なんだけど…」


アデルが話を続けようとして時、ドアが開けられた。そこにいたのは知らない少年だった。少年は黒いローブに身を包み、こちらを見ると口を開いた。


「君達は新入生だよね?そろそろ学校に着くから着替えるといい」


それだけ言うとすぐに扉を閉め、次の場所へと向かう。


「じゃあ、着替えましょうか」

「そうだね」


カノンも荷物からイーグと一緒に買った制服を取りだした。そして、それを椅子の上に置き、上を脱ごうとすると、二人に止められた。


「待て、カノン。お前ここで着替えるのか?」

「そうじゃないの?」

「カノン。あなた、私の性別を何だと思っているの?」

「何って、女の子でしょ?」


一向に気づかないカノンに二人は溜息を吐くと、ラトがカノンの腕を引き、アデルがカノンとラトの制服を持って着いて来る。
カノンとラトがコンパートメントの外に出るとアデルは服を二人に押し付け、扉を閉めた。


「十分で着替えるから、それまでは入って来ないでね。入って来たら殺すわよ」


アデルが黒い笑顔でそう言うものだからカノンはただ首を縦に振るしかできなかった。







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