プロローグ
遺跡調査
発見された遺跡があるのは酷く寒い所だった。周りは雪で白く染められており、上空からも尚振り続けている。そこにカノンが率いる部隊が降り立った。
「ここね…」
全員が自らのデバイスを構えるのを待ってからカノンは支持を出した。
「では、現地調査を開始します。単独行動は控え、必ずパートナーを組んで下さい」
カノンの命令に従い、それぞれがパートナーを組んでいった。
「…あれ?」
周囲はすでに調査を開始したが、命令を出したカノン一人だけパートナーがいなかった。人数が奇数だったことを隊長のカノンが把握していなかったのが誤算だった。仕方なくカノンは一人で行動しようとした。しかし、後ろから肩を叩かれた。そこにいたのはこの現場にいるはずのない人物だった。
「えっ?レックス?」
プラチナブロンドの髪の青年がカノンを見下ろしていた。カノンは驚きのあまり自分が夢でも見ているのではないかと思い、頬を抓ろうとしたが、その手は目の前のレックスに阻まれた。
「夢じゃないから安心しろ」
「じ、じゃあなんでここにいるの?」
カノンの問いにレックスは溜息を吐くとカノンの頭を鷲掴みにして歩き出した。カノンは突然のことになす術もなく従うことになってしまった。
「ちょっと!これはないんじゃないかな?君は一応私の使い魔で、私は主なんだよ?」
レックスの手を振り解いてカノンは吠えた。それにレックスは微動だにせず、自分よりも身長の低いカノンを見下ろした。変に目力のあるレックスの視線にカノンはたじろぎそうになったが、自分を奮い立たせ睨みつけた。その様子にレックスの方が折れた。
「主とかいう前に俺に連絡を入れないのは家族としては駄目なんじゃないか?」
「…私、レックスに何も言ってなかった?」
レックスが言ったことに対してカノンがそう返すと、レックスは顔に手を当て渋面した。
(天然なのは前から知ってはいたが、ここまでとはな)
「もういい…」
行くぞ、と言うとレックスはカノンの前を進み始めた。それに倣いカノンもついて行く。
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